iDeCoで定期預金を選ぶべきか迷っていませんか。元本割れが怖いという気持ちはよくわかります。でも実は、定期預金にも見落としがちなリスクがあるんです。
この記事では、iDeCoの定期預金運用について正直にお話しします。メリットもデメリットも包み隠さずお伝えするので、あなたにとって最適な選択ができるはずです。
老後のお金は大切だからこそ、しっかりと考えて決めたいですよね。一緒に見ていきましょう。
iDeCoで定期預金を選ぶ人が増えている理由
最近、iDeCoで定期預金を選ぶ人が本当に多くなっています。その背景には、投資に対する不安や安全志向の高まりがあります。
定期預金を選ぶ主な理由は次のとおりです。
- 元本割れが怖いという心理
- 投資の知識がないから安全な選択肢を求める
- 手数料を考えずに安心感を優先してしまう
それぞれ詳しく見ていきましょう。
元本割れが怖いという心理
「せっかく積み立てたお金が減ってしまったらどうしよう」。この不安は本当によくわかります。特に老後資金となると、失敗は許されないという気持ちになりますよね。
定期預金なら元本が保証されているので、少なくとも積み立てた分は確実に残ります。この安心感は何物にも代えがたいものです。
でも実は、元本が保証されていても、お金の価値が目減りするリスクがあることを知っていますか。物価が上がれば、同じ金額でも買えるものが少なくなってしまうんです。
投資の知識がないから安全な選択肢を求める
投資信託の種類は本当にたくさんあって、どれを選べばいいかわからない。そんな悩みを抱えている人は多いでしょう。
専門用語ばかりで説明されても、正直よくわからないですよね。「リスク」「リターン」「信託報酬」なんて言葉を聞くだけで頭が痛くなる人もいるかもしれません。
だからこそ、わかりやすい定期預金を選んでしまう気持ちは理解できます。でも実は、投資信託も基本を押さえれば、それほど難しくないんです。
手数料を考えずに安心感を優先してしまう
定期預金を選ぶとき、多くの人が見落としがちなのが手数料の存在です。iDeCoでは毎月171円以上の手数料がかかります。
年間にすると2,000円以上。これって結構大きな金額ですよね。定期預金の金利が0.5%程度だとすると、手数料で利息が相殺されてしまう可能性もあります。
安心感を求めて定期預金を選んだのに、実際には損をしてしまう。そんなことにならないよう、しっかりと計算しておくことが大切です。
iDeCoの定期預金運用で知っておくべき3つのデメリット
iDeCoで定期預金を選ぶ前に、必ず知っておいてほしいデメリットがあります。これらを理解した上で判断することが重要です。
定期預金運用の主なデメリットは以下のとおりです。
- 手数料負けで実質マイナスになる可能性
- インフレに対応できずお金の価値が目減りする
- iDeCoの最大メリット「運用益非課税」を活かせない
順番に詳しく説明していきます。
手数料負けで実質マイナスになる可能性
iDeCoでは避けて通れない手数料の問題。これが定期預金運用の最大の落とし穴かもしれません。
毎月171円の固定費用がかかる現実
どの金融機関を選んでも、最低でも毎月171円の手数料は必ずかかります。これは国民年金基金連合会と信託銀行への支払いで、誰も逃れることはできません。
年間だと2,052円。20年間では41,040円にもなります。この金額を定期預金の利息で回収できるでしょうか。
例えば月1万円を積み立てている場合、年間の積立額は12万円。0.5%の金利だと利息は600円程度です。手数料の方がはるかに高いことがわかりますね。
低金利時代の定期預金利息では追いつかない
現在の定期預金金利は0.3%から0.5%程度が一般的です。これでは手数料を考慮すると、実質的にマイナスになってしまう可能性が高いんです。
特に積立額が少ない場合は要注意。月5,000円の積立だと、手数料率は年間約8.6%にもなってしまいます。これでは資産形成どころか、資産が目減りしてしまいます。
手数料負けを避けるには、最低でも月2万円以上の積立が必要と言われています。
インフレに対応できずお金の価値が目減りする
定期預金の隠れたリスク、それがインフレです。元本は保証されていても、お金の価値そのものが下がってしまう可能性があります。
物価上昇率と定期預金金利の差
最近、食料品や日用品の値上がりを実感していませんか。これがインフレの影響です。
例えば年2%のインフレが続いたとします。定期預金の金利が0.5%だとすると、実質的には年1.5%ずつお金の価値が目減りしていることになります。
100万円を定期預金で20年間運用しても、実際の購買力は約70万円程度になってしまう計算です。これって結構怖いことですよね。
20年後、30年後の購買力の変化
今100円で買えるものが、20年後には150円になっているかもしれません。そのとき、定期預金で増えた数万円の利息では、物価上昇に追いつけないでしょう。
老後資金として考えると、これは深刻な問題です。年金だけでは足りないから自分で準備しているのに、インフレで目減りしてしまったら本末転倒ですよね。
iDeCoの最大メリット「運用益非課税」を活かせない
iDeCoには素晴らしい税制優遇があります。でも定期預金では、その恩恵を十分に受けられないんです。
20.315%の税制優遇を無駄にしてしまう
通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかります。でもiDeCoなら、この税金が一切かかりません。
例えば投資信託で年10万円の利益が出たとします。普通なら約2万円が税金で引かれますが、iDeCoなら10万円まるまる受け取れます。
でも定期預金だと、そもそも利益がほとんど出ません。せっかくの非課税メリットを活かせないのは、本当にもったいないことです。
複利効果を得られないもったいなさ
複利効果って聞いたことがありますか。利益が利益を生む、雪だるま式にお金が増える仕組みのことです。
投資信託なら、この複利効果を最大限に活用できます。特に20年、30年という長期間では、その差は歴然としてきます。
定期預金では複利効果はほとんど期待できません。長期間積み立てるiDeCoの特性を考えると、これは大きな機会損失と言えるでしょう。
それでもiDeCoで定期預金を選ぶメリットはある?
ここまでデメリットをお話ししましたが、定期預金にもちゃんとメリットはあります。すべての人に投資信託が向いているわけではありませんからね。
定期預金を選ぶメリットを見てみましょう。
- 元本保証で安心して眠れる
- 所得控除の節税効果は確実に受けられる
- 投資の勉強をする時間がない人には現実的
具体的に説明していきます。
元本保証で安心して眠れる
やっぱり一番のメリットは、この安心感でしょう。積み立てたお金が減ることは絶対にありません。
市場が大暴落しても、リーマンショックのような金融危機が起きても、定期預金なら影響を受けません。夜もぐっすり眠れますよね。
特に投資経験がない人にとって、この精神的な安定は何物にも代えがたいものです。お金のことで悩んで体調を崩してしまっては本末転倒ですから。
所得控除の節税効果は確実に受けられる
iDeCoの節税効果は、運用商品に関係なく受けられます。これは定期預金を選んでも同じです。
年収別の節税シミュレーション
年収400万円の人が月2万円を積み立てた場合、年間約4万8千円の節税効果があります。これだけでも十分大きなメリットですよね。
年収600万円なら約7万2千円、年収800万円なら約9万6千円の節税効果が期待できます。定期預金の利息は少なくても、この節税効果は確実に受けられるんです。
手数料を差し引いても、節税効果の方がはるかに大きいケースがほとんどです。
投資の勉強をする時間がない人には現実的
仕事や家事、育児で忙しい毎日。投資の勉強をする時間なんてない、という人も多いでしょう。
投資信託を選ぶには、ある程度の知識が必要です。リスクとリターンの関係、分散投資の重要性、信託報酬の見方など、覚えることがたくさんあります。
でも定期預金なら、そんな勉強は不要です。とりあえずiDeCoを始めて節税効果を受けながら、時間ができたときに投資について学ぶという方法もありますよね。
定期預金以外のiDeCo運用選択肢を知ろう
定期預金以外にも、リスクを抑えながら運用できる選択肢があります。投資信託と聞くと怖く感じるかもしれませんが、実はそれほど難しくないんです。
主な運用選択肢をご紹介します。
- バランス型投資信託で安定運用
- インデックスファンドで長期積立
- ターゲットイヤーファンドで自動調整
どれも初心者向けの商品なので、安心してくださいね。
バランス型投資信託で安定運用
バランス型投資信託は、株式と債券を組み合わせた商品です。リスクを抑えながらも、定期預金より高いリターンが期待できます。
リスクを抑えながら成長も狙える
株式だけだと値動きが激しくて心配ですよね。でもバランス型なら、債券が株式の値下がりをある程度カバーしてくれます。
例えば株式70%、債券30%のような配分になっています。株式が下がっても債券が安定しているので、全体の値動きは穏やかになるんです。
過去のデータを見ると、20年間の長期投資では元本割れの可能性がかなり低くなります。
初心者におすすめの商品例
「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」は信託報酬が0.154%と低コストで人気です。国内外の株式と債券、不動産投資信託に分散投資できます。
「マイバランス70」も同じく0.154%の信託報酬で、過去5年間で約30%の上昇を記録しています。
どちらも1本買うだけで世界中に分散投資できるので、初心者にはぴったりの商品と言えるでしょう。
インデックスファンドで長期積立
インデックスファンドは、日経平均やS&P500などの指数に連動する投資信託です。シンプルでわかりやすく、コストも安いのが特徴です。
手数料が安く分散投資できる
インデックスファンドの信託報酬は0.1%程度と非常に安いんです。定期預金の手数料負けを考えると、この低コストは大きな魅力ですよね。
また、1つの商品で数百から数千の企業に投資できます。個別の企業が倒産しても、全体への影響は限定的です。
まさに「卵を一つのかごに盛るな」という投資の格言を実践できる商品と言えるでしょう。
過去のデータから見る長期運用の安定性
アメリカの株式市場(S&P500)は、過去20年間で年平均約10%の成長を続けています。もちろん短期的には上下しますが、長期で見ると右肩上がりの傾向が続いています。
日本の株式市場も、長期的には経済成長とともに上昇してきました。20年以上の投資期間があれば、元本割れのリスクはかなり低くなります。
ターゲットイヤーファンドで自動調整
ターゲットイヤーファンドは、退職予定年に合わせて自動的にリスクを調整してくれる商品です。まさに「ほったらかし投資」の代表格ですね。
年齢に応じてリスクを下げてくれる仕組み
若いうちは株式の比率を高くして積極的に運用し、年齢を重ねるにつれて債券の比率を増やしてリスクを下げていきます。
例えば30歳では株式80%、債券20%だったものが、50歳では株式60%、債券40%、60歳では株式40%、債券60%といった具合に自動調整されます。
自分で調整する手間がないので、投資に時間をかけたくない人にはぴったりの商品です。
iDeCo運用で失敗しないための5つのポイント
iDeCoで失敗しないためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。これらを守れば、大きな失敗は避けられるはずです。
失敗を避けるためのポイントは次のとおりです。
- 自分のリスク許容度を正しく把握する
- 長期運用を前提に商品を選ぶ
- 手数料の安い金融機関を選ぶ
- 定期的に運用状況をチェックする
- 途中で慌てて変更しない
一つずつ詳しく見ていきましょう。
1. 自分のリスク許容度を正しく把握する
リスク許容度とは、どの程度の値下がりまで我慢できるかということです。これを間違えると、夜も眠れなくなってしまいます。
例えば「10%下がっても平気」という人もいれば、「1%でも下がったら不安」という人もいます。どちらが正しいということはありません。
大切なのは、自分の性格や状況を正直に見つめることです。無理をして高リスクの商品を選んでも、結局は途中で投げ出してしまうかもしれません。
2. 長期運用を前提に商品を選ぶ
iDeCoは原則60歳まで引き出せません。つまり、必然的に長期投資になるんです。
短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、20年、30年という長いスパンで考えることが重要です。長期投資なら、多少リスクの高い商品でも安定したリターンが期待できます。
「今年は下がったから失敗だった」ではなく、「20年後にプラスになっていればいい」という気持ちで臨みましょう。
3. 手数料の安い金融機関を選ぶ
手数料の差は、長期間では大きな差になります。年間数千円の違いでも、20年間では数万円から十万円以上の差になることもあります。
ネット証券なら運営管理手数料が無料のところが多いです。SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券などが代表的ですね。
商品のラインナップも重要ですが、まずは手数料をチェックしてみてください。
4. 定期的に運用状況をチェックする
「ほったらかし投資」とは言っても、全く見ないのは良くありません。年に1回程度は運用状況を確認しましょう。
大きく資産配分が崩れていたら、リバランスを検討することも大切です。ただし、短期的な値動きで慌てて変更する必要はありません。
長期的な視点で、冷静に判断することが重要です。
5. 途中で慌てて変更しない
市場が大きく下がったとき、つい慌てて商品を変更したくなるかもしれません。でもこれは禁物です。
過去のデータを見ると、市場の底で売ってしまった人の多くが後悔しています。長期投資では、時間が味方になってくれるんです。
一度決めた方針は、よほどのことがない限り変更しない方が良い結果につながることが多いです。
年代別・職業別のおすすめiDeCo運用戦略
年齢や職業によって、最適な運用戦略は変わってきます。自分の状況に合った戦略を選ぶことが成功の鍵です。
年代別・職業別の戦略をご紹介します。
- 20代・30代は積極運用で複利効果を最大化
- 40代・50代はバランス重視で安定成長
- 自営業者は満額拠出で節税メリットを活用
- 会社員は企業年金との兼ね合いを考慮
それぞれの特徴を見ていきましょう。
20代・30代は積極運用で複利効果を最大化
若い世代の最大の武器は時間です。30年以上の運用期間があるなら、多少のリスクを取っても大丈夫でしょう。
株式中心のポートフォリオで、年5%から7%程度のリターンを狙うのが現実的です。短期的には値下がりもありますが、長期的には右肩上がりが期待できます。
月2万円を30年間、年6%で運用できれば、約1,900万円になる計算です。複利の力は本当にすごいですよね。
40代・50代はバランス重視で安定成長
40代、50代になると、運用期間が短くなってきます。あまり大きなリスクは取れませんが、定期預金だけでは物足りないでしょう。
株式と債券のバランス型ファンドや、株式の比率を60%程度に抑えた商品がおすすめです。年3%から5%程度のリターンを目指しましょう。
安定性を重視しながらも、インフレに負けない運用を心がけることが大切です。
自営業者は満額拠出で節税メリットを活用
自営業者の掛金上限は月6万8千円と高く設定されています。この枠を最大限活用すれば、大きな節税効果が期待できます。
年収が高い自営業者なら、年間80万円以上の節税効果も可能です。これだけでも定期預金の利息を大きく上回りますよね。
運用商品は株式中心でも良いでしょう。節税効果が大きいので、多少のリスクは許容できるはずです。
会社員は企業年金との兼ね合いを考慮
会社員の場合、企業年金の有無によって掛金上限が変わります。企業年金がない場合は月2万3千円、ある場合は月1万2千円が上限です。
ただし、2025年の法改正で上限が大幅に引き上げられる予定です。企業年金なしの会社員は月6万2千円まで拠出できるようになります。
企業年金がすでにある場合は、全体のバランスを考えて運用商品を選びましょう。企業年金が保守的なら、iDeCoでは積極的な運用をするという考え方もあります。
よくある不安と疑問に答えます
iDeCoを始める前に、多くの人が抱く不安や疑問があります。これらを解消しておけば、安心してスタートできるでしょう。
よくある不安と疑問をまとめました。
- 「投資で損したらどうしよう」という心配
- 「難しくてよくわからない」という悩み
- 「途中で変更できるの?」という疑問
- 「手数料が高そう」という誤解
一つずつお答えしていきます。
「投資で損したらどうしよう」という心配
この不安は本当によくわかります。でも長期投資なら、損をするリスクはかなり低いんです。
過去のデータを見ると、20年以上の投資期間があれば、元本割れする確率は非常に低くなります。特に分散投資をしていれば、リスクはさらに下がります。
それでも心配なら、バランス型ファンドから始めてみてはいかがでしょうか。株式100%より値動きが穏やかなので、初心者でも安心です。
「難しくてよくわからない」という悩み
投資信託の仕組みは確かに複雑ですが、基本だけ押さえれば大丈夫です。
まずは「分散投資」と「長期投資」の考え方を理解しましょう。そして信託報酬の安い商品を選ぶ。これだけでも十分です。
最初は1つの商品に絞って始めて、慣れてきたら他の商品も検討するという方法もありますよ。
「途中で変更できるの?」という疑問
iDeCoは途中で商品を変更できます。掛金の配分変更はいつでも可能ですし、すでに購入した商品を売却して別の商品に買い替えることもできます。
掛金額の変更も年1回できます。生活状況が変わったら、無理のない範囲に調整すれば良いんです。
拠出を一時停止することも可能です。ただし、停止中も口座管理手数料はかかるので注意してくださいね。
「手数料が高そう」という誤解
確かに手数料はかかりますが、思っているほど高くありません。ネット証券なら運営管理手数料は無料です。
必要最低限の手数料は月171円だけ。年間でも2,052円です。この程度なら、節税効果で十分にペイできるでしょう。
投資信託の信託報酬も、インデックスファンドなら0.1%から0.2%程度です。これも決して高い水準ではありません。
まとめ:iDeCoは定期預金だけじゃもったいない
今回の記事では、iDeCoの定期預金運用について詳しくお話ししました。以下に重要なポイントをまとめます。
- 定期預金は元本保証だが手数料負けのリスクがある
- インフレでお金の価値が目減りする可能性がある
- 運用益非課税のメリットを活かしきれない
- 節税効果は定期預金でも確実に受けられる
- バランス型やインデックスファンドなら初心者でも安心
- 長期投資なら元本割れのリスクは低い
- 年代や職業に応じて最適な戦略を選ぶことが大切
iDeCoは老後資金作りの強力な味方です。定期預金の安心感も理解できますが、せっかくの制度なら最大限活用したいですよね。
まずは小さな一歩から始めてみませんか。投資信託が不安なら、定期預金と投資信託を半分ずつにするという方法もあります。大切なのは、今すぐ行動を起こすことです。
あなたの老後が豊かになるよう、心から応援しています。