株式投資をしていると「テンバガー」という言葉を耳にすることがありませんか。株価が10倍になるなんて、まるで夢のような話に聞こえるかもしれません。
でも実は、テンバガーは決して珍しいことではないんです。過去にも多くの銘柄がテンバガーを達成していて、2025年にも注目すべき候補がいくつもあります。
この記事では、テンバガーの基本的な意味から特徴、実際に達成した過去の銘柄、そして2025年に期待できる注目銘柄まで、わかりやすく解説していきます。投資で大きな利益を狙いたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
テンバガーとは何か?基本的な意味を知ろう
テンバガーという言葉を初めて聞く方も多いでしょう。まずは基本的な意味から理解していきましょう。
株価が10倍になる「テンバガー」の定義
テンバガーとは、株式市場において株価が10倍以上に成長する現象、または成長した銘柄のことを指します。
たとえば、100円で買った株が1,000円になったら、それがテンバガーです。投資金額が10倍になるわけですから、10万円の投資が100万円になる計算になります。
また、将来的に10倍以上に成長しそうな銘柄を指す場合もあります。つまり「テンバガー候補」として注目される銘柄も含まれるんですね。
野球用語から生まれた面白い語源
テンバガーの語源は、実は野球のスラングなんです。バガー(bagger)は「塁打」を意味していて、1試合で10塁打(テンバガー)を記録するような強打者になぞらえて使われるようになりました。
野球で10塁打を記録するのは相当すごいことですよね。それと同じように、株価が10倍になることも「すごい記録」として表現されているわけです。
ピーター・リンチが広めた投資用語
テンバガーという言葉を投資の世界に広めたのは、有名なファンドマネージャーのピーター・リンチです。彼は著書「ピーター・リンチの株に勝つ」の中で、テンバガー銘柄の発掘が高い運用成績を上げ続けるために欠かせないと述べています。
ピーター・リンチは実際に数多くのテンバガー銘柄を見つけて、驚異的な運用成績を残しました。そのため、多くの投資家がテンバガーに注目するようになったんです。
テンバガー銘柄に共通する5つの特徴
テンバガーを達成する銘柄には、いくつかの共通した特徴があります。これらの特徴を理解することで、将来のテンバガー候補を見つけやすくなるでしょう。
時価総額が小さい中小企業
テンバガーを達成する銘柄の多くは、時価総額が小さい中小企業です。時価総額100億円以下の企業が特に注目されています。
なぜ小さな企業の方がテンバガーになりやすいのでしょうか。それは、大きな企業よりも成長の余地が大きいからです。時価総額が1兆円の企業が10倍になるのは現実的ではありませんが、100億円の企業が1,000億円になることは十分可能ですよね。
低位株(100円〜400円程度)
テンバガー銘柄の多くは、株価が比較的安い低位株です。具体的には100円から400円程度の銘柄が多く見られます。
ただし、ここで注意が必要なのは「低位株」と「ボロ株」の違いです。低位株は将来性があるけれど株価が安い銘柄、ボロ株は業績が悪くて株価が下がっている銘柄を指します。テンバガーを狙うなら、しっかりと見極めることが大切です。
新興市場に上場している
東証グロース市場などの新興市場に上場している企業も、テンバガーになりやすい特徴の一つです。2023年にテンバガーを達成したアジャイルメディア・ネットワークとプログリットも、どちらも東証グロース市場の銘柄でした。
新興市場の企業は成長段階にあることが多く、事業が軌道に乗ると株価が大きく上昇する可能性があります。
注目度が低く見過ごされている
意外かもしれませんが、テンバガーになる銘柄は最初のうちは注目度が低いことが多いんです。多くの投資家がまだ気づいていない「隠れた優良企業」だからこそ、株価が安く放置されているわけです。
メディアで話題になってからでは、すでに株価が上がってしまっている可能性があります。そのため、自分で情報を集めて早めに見つけることが重要になります。
大きな成長材料を秘めている
テンバガー銘柄には、将来の大きな成長につながる材料があります。新しい技術、画期的なサービス、市場の拡大など、何らかの成長要因を持っているんです。
たとえば、AI関連技術、環境技術、医療技術など、今後の社会で重要になりそうな分野に関わる企業は要注目です。
実際にテンバガーを達成した過去の銘柄8選
ここからは、実際にテンバガーを達成した具体的な銘柄を見ていきましょう。これらの事例を知ることで、テンバガーがどのような銘柄で起こるのかイメージしやすくなります。
1. レーザーテック(6920)- 半導体関連の代表格
レーザーテックは、テンバガー銘柄の代表格として有名です。半導体関連の企業で、2019年1月4日の終値約1,330円から2021年1月5日の高値13,300円でテンバガーを達成しました。
その後も成長を続け、2022年1月4日には高値36,090円、2024年4月15日時点では42,180円まで上昇。株価は5年超で約31.7倍になっています。
半導体業界の成長とともに、同社の技術力が評価されて大幅な株価上昇につながったんですね。
2. さくらインターネット(3778)- データセンター大手
さくらインターネットは、データセンター独立系大手の企業です。2023年1月4日時点の終値は491円でしたが、同年11月末に日本政府のクラウドに選定された後、2024年3月7日には高値10,980円まで上昇しました。
株価は約22.3倍になり、政府案件という大きな材料が株価押し上げの要因となりました。
3. アジャイルメディア・ネットワーク(6573)- 2023年達成
アジャイルメディア・ネットワークは、企業やブランドのファンに情報発信を促す施策を企画・運営支援している会社です。
2023年3月29日の安値61円から10月19日の高値961円まで急上昇し、テンバガーを達成しました。社長交代やTikTokチャネル運用会社の子会社化などの好材料が重なったことが要因です。
4. プログリット(9560)- 2023年達成
プログリットは英語コーチングサービスを手がける企業で、2022年9月に東証グロースに上場しました。
2023年1月4日に234円だった株価が、同年6月20日に2,500円と半年でテンバガーを達成。ただし、その後株価は急速に下げて900円台で取引されています。
5. フューチャーベンチャーキャピタル – 1年で16倍
2015年における株価の年間上昇率で約15倍を記録したフューチャーベンチャーキャピタル。上期の経常利益が黒字に浮上したことに加え、自動車の自動運転関連銘柄として注目されました。
6. 日本M&Aセンター – 7年で40倍
日本M&Aセンターは、アベノミクス相場でテンバガーを達成した代表的な銘柄の一つです。M&A仲介事業の成長とともに、長期間にわたって株価が上昇し続けました。
7. セリア – 5年で70倍
100円ショップを展開するセリアも、アベノミクス相場で大きく株価を伸ばした銘柄です。店舗数の拡大と収益性の向上により、驚異的な株価上昇を記録しました。
8. デイップ – 4年で17倍
求人情報サービスを手がけるデイップも、テンバガーを達成した銘柄の一つです。人材不足が社会問題となる中で、同社のサービスに対する需要が高まり、株価が大幅に上昇しました。
2025年に注目したいテンバガー候補銘柄
2025年にテンバガーを狙うなら、どのような銘柄に注目すべきでしょうか。特に注目されているのは、トランプ関連銘柄とAI関連銘柄です。
トランプ関連銘柄4選
トランプ大統領の政策が追い風になりそうな銘柄として、以下の4つが注目されています。
1. キャタピラー(CAT)
建設・鉱山機械などの各種機械、ディーゼルエンジン、産業用ガスタービン等のエンジン・発電装置などの開発、製造、販売を手がけています。
トランプ政権のインフラ投資政策により、建設機械の需要増加が期待されています。
2. ロッキード・マーチン(LMT)
防衛関連企業として、トランプ政権の国防費増額政策の恩恵を受けると予想されています。軍事技術の発展とともに、業績向上が期待される銘柄です。
3. コインベース・グローバル(COIN)
暗号資産取引所を運営する企業で、トランプ政権の暗号資産に対する規制緩和政策により、取引量の増加が見込まれています。
4. ネクステラ・エナジー(NEE)
再生可能エネルギー事業を手がける企業です。エネルギー政策の変化により、新たなビジネス機会が生まれる可能性があります。
AI関連銘柄4選
AI技術の発展とともに、関連企業の成長が期待されています。
1. セールスフォース(CRM)
顧客関係管理(CRM)システムを提供する企業で、AI技術を活用したサービスの拡充により、さらなる成長が期待されています。
2. クラウドストライク・ホールディングス(CRWD)
サイバーセキュリティ企業として、AI技術を活用したセキュリティソリューションの需要増加が見込まれています。
3. マーベル・テクノロジー(MRVL)
半導体企業として、AI関連チップの需要増加により業績向上が期待されています。
4. オラクル(ORCL)
データベース管理システムを提供する企業で、AI技術の発展に伴うデータ処理需要の増加が追い風となりそうです。
テンバガー銘柄を見つける3つのコツ
テンバガー候補を見つけるには、どのような点に注目すればよいのでしょうか。ここでは実践的なコツを3つご紹介します。
業績の急成長をチェックする
まず重要なのは、企業の業績が急成長しているかどうかです。売上高や利益の伸び率が2ケタ以上あることが一つの目安になります。
四季報や決算資料を確認して、過去数年間の業績推移を見てみましょう。右肩上がりの成長を続けている企業は、テンバガー候補として注目する価値があります。
メディア注目度の変化を追う
テンバガー銘柄の多くは、最初は注目度が低いものの、徐々にメディアで取り上げられるようになります。
ニュースやCMで気になった企業があったら、その企業の株価や業績をチェックしてみてください。まだ多くの投資家が気づいていない段階で見つけることができれば、大きな利益につながる可能性があります。
チャートの陽線パターンを見極める
株価チャートを見て、陽線(上昇)が続いているパターンを探すことも重要です。特に25日移動平均線を上回って推移している銘柄は、上昇トレンドにある可能性が高いです。
ただし、チャート分析だけに頼るのではなく、企業の基本的な情報もしっかりと確認することが大切です。
テンバガー投資で気をつけたい4つのリスク
テンバガーは魅力的ですが、同時にリスクも大きいことを理解しておく必要があります。
低位株とボロ株の見分け方
株価が安い銘柄には、将来性のある「低位株」と業績が悪い「ボロ株」があります。
低位株は一時的に株価が下がっているだけで、将来的な成長が期待できる銘柄です。一方、ボロ株は業績が悪化していて、株価回復の見込みが薄い銘柄を指します。
自己資本比率50%以上、売上や利益が成長している企業を選ぶことで、ボロ株を避けることができます。
天井を狙わず早めの利益確定
テンバガー銘柄は急騰した後に元の水準に戻るケースがあります。プログリットのように、テンバガー達成後に株価が大きく下落した例もあります。
欲張りすぎず、ある程度利益が出たら一部を利益確定することも大切です。
移動平均線での下落サインを見逃さない
成長株は値上がりするときも大きいですが、値下がりするときも大きいという特徴があります。
25日移動平均線を割り込んだら、いったん売却を検討することをおすすめします。成長性の鈍化が明確になってからでは、売り時として遅すぎる場合が多いからです。
急落リスクを理解しておく
テンバガー候補の銘柄は時価総額が小さいため、個人投資家の注文だけでも値動きが激しくなります。
買い注文が多ければ株価は上がりますが、売り注文が大量に出された場合には急落は避けられません。損失を限定するために、買い注文と同時に損切り注文も出しておくことを検討しましょう。
まとめ:テンバガーは夢があるけれど慎重に
今回の記事では、テンバガーの基本的な意味から特徴、過去の達成銘柄、2025年の注目候補まで詳しく解説しました。以下に要点をまとめます。
- テンバガーとは株価が10倍以上になる銘柄のこと
- 時価総額が小さく低位株の新興市場銘柄に多い
- レーザーテックやさくらインターネットなど実際の成功例がある
- 2025年はトランプ関連とAI関連銘柄が注目されている
- 業績の急成長とメディア注目度の変化をチェックすることが大切
- 低位株とボロ株の見分け方を理解する必要がある
- 移動平均線を活用した売り時の判断が重要
テンバガーは確かに夢のある投資ですが、同時に大きなリスクも伴います。しっかりと企業分析を行い、リスク管理を怠らないことが成功の鍵となります。
投資は自己責任ですので、余裕資金の範囲内で慎重に取り組んでくださいね。他の投資手法についても学んで、バランスの取れた投資を心がけましょう。