つみたてNISA(積立NISA)を売却したい!途中で現金引き出しする方法&メリット・デメリットとは?

つみたてNISAで積み立てた資産を現金化したいと考えているけれど、どうやって売却すればいいのかわからない。そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

実は、つみたてNISAはいつでも好きなタイミングで売却できます。結婚や住宅購入、子どもの教育費など、まとまったお金が必要になったときには遠慮なく使えるのです。

この記事では、つみたてNISAの売却方法から手順、メリット・デメリット、そして売却時の注意点まで詳しく解説します。初めて売却を検討している方でも安心して手続きができるよう、わかりやすくお伝えしていきますね。

売却のタイミングや方法を正しく理解することで、あなたの大切な資産を有効活用できるはずです。

つみたてNISAは途中で現金化できる

つみたてNISAで積み立てた資産は、いつでも自由に売却して現金化できます。これは多くの方が知らない重要なポイントです。

いつでも好きなタイミングで売却可能

つみたてNISAには売却に関する制限がありません。積み立てを始めた翌日でも、10年後でも、あなたが現金を必要とするタイミングで売却できます。

「20年間は引き出せない」と勘違いしている方もいますが、これは間違いです。20年というのは非課税で運用できる期間であって、売却を制限する期間ではありません。

急な出費が必要になったとき、つみたてNISAの資産があることで安心感を得られるのも大きなメリットといえるでしょう。

全額売却も一部売却も選べる

売却方法は2つから選択できます。保有している資産をすべて売却する「全額売却」と、必要な分だけを売却する「一部売却」です。

一部売却なら、必要な金額だけを現金化して、残りは運用を続けられます。たとえば100万円の資産があるとき、30万円だけを売却して70万円は運用継続といった使い方が可能です。

この柔軟性があることで、ライフイベントに合わせた資金調達ができるのです。

口座解約とは違う「売却」の仕組み

つみたてNISAの「売却」と「口座解約」は全く別の手続きです。売却は保有している投資信託を現金化することで、口座解約はつみたてNISA口座そのものを閉じることを指します。

売却しても口座は残り続けるため、その後も新たに積み立てを再開できます。また、積立設定も自動的には停止されないため、売却後も毎月の積み立ては継続されます。

この違いを理解しておくことで、適切な手続きを選択できるでしょう。

つみたてNISAの売却タイミング

つみたてNISAを売却するベストなタイミングを知ることで、より効果的に資産を活用できます。売却を検討すべき4つの主要なタイミングは次のとおりです。

  • 目標金額に到達したとき
  • まとまったお金が必要になったとき
  • 非課税保有期間20年を迎えるとき
  • 利益が出ているタイミングを狙う

以下で詳しく見ていきましょう。

目標金額に到達したとき

つみたてNISAを始めるときに設定した目標金額に達したら、売却を検討する絶好のタイミングです。目標を達成した時点で利益を確定させることで、その後の市場変動リスクを回避できます。

たとえば「子どもの大学費用として300万円を準備する」という目標があった場合、その金額に到達したら必要な分を売却するのが賢明でしょう。

目標達成後も運用を続けることは可能ですが、必要な資金が確保できているなら、リスクを取る必要性は低くなります。

まとまったお金が必要になったとき

結婚式費用、住宅の頭金、子どもの教育費、医療費など、人生にはまとまった出費が必要な場面があります。そんなときこそ、つみたてNISAの出番です。

ただし、お金が必要になったタイミングで必ずしも相場が良いとは限りません。可能であれば、必要な時期の2〜3年前から相場の動きを見て、上昇しているタイミングで売却を検討しましょう。

緊急性が高い場合は仕方ありませんが、計画的に売却タイミングを見極めることで、より多くの資金を確保できる可能性があります。

非課税保有期間20年を迎えるとき

つみたてNISAの非課税期間は20年間です。この期間が終了すると、資産は課税口座に移管されます。

非課税期間終了前に売却すれば、それまでの利益はすべて非課税のまま受け取れます。一方、課税口座に移管された後に売却すると、移管後の利益には税金がかかります。

ただし、非課税期間終了時に必ず売却する必要はありません。市場の状況を見て、有利なタイミングで売却を判断することが大切です。

利益が出ているタイミングを狙う

投資の基本は「安く買って高く売る」ことです。つみたてNISAでも、利益が出ているタイミングでの売却を心がけましょう。

特に大きく上昇した後は、一時的に利益を確定させることも有効な戦略です。すべてを売却する必要はなく、一部だけを売却して利益を確定し、残りは運用を続けるという方法もあります。

ただし、相場のタイミングを完璧に予測することは不可能です。あまり細かく考えすぎず、大きな流れを見て判断することが重要です。

つみたてNISAを売却する手順

つみたてNISAの売却手続きは、オンラインで簡単に行えます。基本的な流れを5つのステップで説明します。

  • 売却する商品を選ぶ
  • 売却金額または口数を決める
  • オンラインで売却注文を出す
  • 現金化まで4〜5営業日待つ
  • 指定口座から現金を引き出す

順番に詳しく解説していきます。

ステップ1:売却する商品を選ぶ

まず、利用している証券会社のマイページにログインします。保有資産の一覧画面で、売却したい投資信託を選択しましょう。

複数の商品を保有している場合は、どれを売却するかを慎重に検討してください。一般的には、非課税期間の残りが短いものや、利益が大きく出ているものから売却するのが効率的です。

ログイン時には暗証番号が必要なので、事前に確認しておくと手続きがスムーズに進みます。

ステップ2:売却金額または口数を決める

売却方法は「金額指定」と「口数指定」の2つから選べます。受け取りたい金額が決まっている場合は金額指定、保有している一定割合を売却したい場合は口数指定を選びましょう。

金額指定の場合、売却手続き後に実際の売却価格が決まるため、指定した金額とは多少の誤差が生じる可能性があります。

口数指定の場合は、売却時の基準価額によって受け取り金額が決まります。どちらの方法でも、画面上で概算金額を確認できることが多いです。

ステップ3:オンラインで売却注文を出す

売却内容を確認したら、注文を確定します。この時点で売却注文が証券会社に送信されますが、実際の売却価格はまだ決まっていません。

投資信託の売却価格は、注文を出した日の基準価額で決まります。基準価額は1日1回、市場終了後に算出されるため、注文時点では正確な金額がわからないのです。

注文確定後は、証券会社から確認メールが届くことが一般的です。

ステップ4:現金化まで4〜5営業日待つ

売却注文を出してから実際に現金化されるまで、通常4〜5営業日かかります。土日を挟む場合は約1週間程度を見込んでおきましょう。

この期間中は何もする必要がありません。証券会社が売却手続きを進めてくれます。

現金化が完了すると、証券会社から通知が届きます。マイページでも売却完了を確認できるでしょう。

ステップ5:指定口座から現金を引き出す

現金化が完了したら、あらかじめ指定していた銀行口座に資金が振り込まれます。その後は通常の銀行口座と同様に、ATMや窓口で現金を引き出せます。

振込手数料がかかる場合があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

これで売却手続きは完了です。思っているよりも簡単で、特別な知識は必要ありません。

つみたてNISAを売却するメリット

つみたてNISAの売却には、いくつかの明確なメリットがあります。これらを理解することで、適切なタイミングでの売却判断ができるでしょう。

必要なときにすぐ現金化できる

つみたてNISAの最大のメリットは流動性の高さです。急な出費が必要になったとき、数日で現金を手にできます。

定期預金のように満期まで引き出せない制約もなく、解約手数料もかかりません。この柔軟性があることで、安心して長期投資に取り組めるのです。

ただし、売却から現金化まで4〜5営業日かかることは覚えておきましょう。

利益を確定して損失リスクを回避

投資には必ずリスクが伴います。今日利益が出ていても、明日には損失に転じる可能性があります。

利益が出ているタイミングで売却することで、その利益を確実に手にできます。特に大きく上昇した後は、一時的に利益確定を行うことも有効な戦略です。

完璧なタイミングを狙う必要はありませんが、ある程度の利益が出たら売却を検討することも大切です。

新NISAへの資金移動が可能

2024年から始まった新NISAは、つみたてNISAよりも投資枠が大幅に拡大されています。つみたてNISAの資産を売却して得た資金を、新NISAで再投資することも可能です。

新NISAでは年間360万円まで投資でき、非課税期間も無期限になりました。より有利な制度を活用するために、売却を検討する価値があります。

ただし、売却タイミングと再投資タイミングの相場変動リスクは考慮する必要があります。

複数回に分けて売却できる

つみたてNISAは一度にすべてを売却する必要がありません。必要な分だけを段階的に売却できるため、リスクを分散できます。

たとえば、子どもの教育費として300万円が必要な場合、高校入学時に100万円、大学入学時に200万円といった具合に分割して売却できます。

この方法により、売却タイミングの分散効果を得られ、相場変動リスクを軽減できるでしょう。

つみたてNISAを売却するデメリット

売却にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらを理解した上で、慎重に判断することが重要です。

複利効果が得られなくなる

つみたてNISAの最大の魅力は、長期投資による複利効果です。売却してしまうと、この複利効果を享受できなくなります。

複利効果は時間が経つほど大きくなるため、早期の売却は将来の資産形成機会を失うことを意味します。10年、20年という長期で見ると、その差は非常に大きくなる可能性があります。

本当に今売却する必要があるのか、他に資金調達方法はないのかを十分検討しましょう。

非課税投資枠は再利用できない

つみたてNISAの年間投資枠は40万円です。一度売却すると、その分の非課税枠は二度と使えません。

たとえば、今年20万円分を売却した場合、その20万円分の非課税枠は永久に失われます。来年新たに40万円投資できますが、売却した分を追加で投資することはできません。

この制約があることで、安易な売却は避けるべきだといえるでしょう。

長期投資のメリットを失う

つみたてNISAは長期投資を前提とした制度です。短期間での売却を繰り返すと、長期投資の恩恵を受けられません。

投資の世界では「時間を味方につける」ことが重要とされています。市場の短期的な変動に一喜一憂せず、長期的な視点で資産形成を行うことが成功の秘訣です。

売却を検討する際は、本当に必要な理由があるかを慎重に判断してください。

元本割れのリスクがある

投資には元本割れのリスクが常に存在します。売却時に購入価格を下回っている場合、損失が確定してしまいます。

特に投資を始めて間もない時期や、市場が大きく下落している時期の売却は要注意です。可能であれば、相場が回復するまで待つことも選択肢の一つです。

ただし、どうしても資金が必要な場合は、損失を受け入れて売却せざるを得ないこともあるでしょう。

つみたてNISA売却時の注意点

売却手続きを行う前に、知っておくべき重要な注意点があります。これらを理解することで、思わぬトラブルを避けられるでしょう。

売却価格は注文後に決まる

投資信託の売却価格は、注文を出した時点では確定していません。その日の市場終了後に算出される基準価額で売却価格が決まります。

つまり、「今10万円の価値がある」と思って売却注文を出しても、実際の売却価格は9万8千円になったり、10万2千円になったりする可能性があります。

この仕組みを理解して、多少の価格変動は想定内として考えておきましょう。

信託財産留保額がかかる場合がある

一部の投資信託では、売却時に「信託財産留保額」という手数料がかかります。これは0.1〜0.5%程度の小額ですが、売却代金から差し引かれます。

すべての投資信託にかかるわけではありませんが、事前に確認しておくと良いでしょう。投資信託の目論見書や証券会社のサイトで確認できます。

手数料を考慮した上で、売却金額を検討することが大切です。

積立設定は自動停止されない

投資信託を売却しても、毎月の積立設定は自動的に停止されません。売却後も積み立てを続けたくない場合は、別途停止手続きが必要です。

積立設定の変更や停止は、証券会社のマイページから簡単に行えます。売却手続きと合わせて確認しておきましょう。

逆に、一時的に現金が必要で売却するが、積み立ては継続したい場合は、そのまま設定を残しておけば問題ありません。

損益通算ができない

つみたてNISAで損失が出た場合、他の投資商品の利益と相殺する「損益通算」ができません。これはNISA制度の特徴の一つです。

たとえば、つみたてNISAで10万円の損失、他の投資で10万円の利益があっても、税務上は相殺されません。

この点を理解した上で、売却タイミングを検討することが重要です。

一度に全額売却するリスク

保有資産をすべて一度に売却すると、売却タイミングのリスクを集中して負うことになります。

売却後に相場が上昇した場合、その恩恵を受けられません。可能であれば、複数回に分けて売却することでリスクを分散しましょう。

たとえば、100万円の資産を売却する場合、50万円ずつ2回に分けるといった方法が考えられます。

まとめ

今回の記事では、つみたてNISAの売却方法から注意点まで幅広く解説しました。以下に要点をまとめます。

  • つみたてNISAはいつでも好きなタイミングで売却可能
  • 売却手続きはオンラインで簡単に行え、4〜5営業日で現金化される
  • 目標金額達成時や必要資金が生じた時が売却の主なタイミング
  • 売却により流動性確保と利益確定ができる一方で複利効果を失う
  • 非課税投資枠は売却しても復活しないため慎重な判断が必要
  • 売却価格は注文後に決まり、信託財産留保額がかかる場合がある
  • 損益通算ができないため税務面での注意が必要

つみたてNISAの売却は決して難しいものではありません。ただし、長期投資のメリットを最大限活用するためにも、本当に必要な時以外は売却を控えることをおすすめします。

あなたのライフプランに合わせて、適切なタイミングで賢く活用してくださいね。新NISAなどの関連制度についても、併せて情報収集しておくと良いでしょう。