「努めてまいります」という言葉、ビジネスシーンでよく聞きますよね。でも、いざ自分で使おうとすると、どんな場面で使えばいいのか迷ってしまうことも多いでしょう。
この表現は「できる限り努力していきます」という意味で、相手に対する敬意と今後への決意を込めた丁寧な言い回しです。履歴書の志望動機からメールでの謝罪まで、幅広い場面で活用できます。
今回は「努めてまいります」の正しい意味や使い方を、具体的な例文とともにわかりやすく解説します。適切な使い分けや注意点も含めて、あなたのビジネスコミュニケーションがより円滑になるよう、実践的な内容をお届けしていきますね。
「努めてまいります」の基本的な意味
「努めてまいります」は、自分の意欲や決意を相手に丁寧に伝える敬語表現です。単なる「がんばります」よりもフォーマルで、ビジネスシーンにふさわしい言葉として重宝されています。
言葉の成り立ちと敬語の種類
「努めてまいります」は「努める」という動詞に、謙譲語の「まいります」を組み合わせた表現です。「努める」には「力を尽くして取り組む」「一生懸命に行う」という意味があります。
「まいります」は「行く」「来る」の謙譲語として知られていますが、ここでは動作の継続を表す補助動詞として使われています。つまり「これから継続して努力していく」という意味を、相手に対して謙遜しながら表現しているのです。
この組み合わせによって、単に努力するだけでなく、相手への敬意も同時に示すことができます。
相手に与える印象と効果
「努めてまいります」を使うことで、相手には誠実で責任感のある印象を与えることができます。特に謝罪の場面では、口先だけでなく実際に行動で示そうとする意志が伝わるでしょう。
また、この表現には未来への前向きな姿勢も含まれています。過去の失敗を反省しつつも、これからの改善に向けて積極的に取り組む意欲を示せるのです。
ただし、具体的な行動計画と組み合わせて使うことで、より説得力のある表現になります。
「努めてまいります」を使う場面5選
「努めてまいります」が効果的に使える場面を、具体的に見ていきましょう。それぞれの場面で、どのような気持ちを込めて使うかも大切なポイントです。
1. 謝罪やお詫びの気持ちを伝えるとき
ミスや不手際があった際の謝罪では、「努めてまいります」が特に威力を発揮します。単に「申し訳ございません」と謝るだけでなく、今後の改善への意志を示すことで、相手の信頼回復につながるでしょう。
「今後このようなことがないよう努めてまいります」という使い方が代表的です。この表現により、同じ失敗を繰り返さない決意を相手に伝えることができます。
2. 改善や向上への意欲を示すとき
現状に満足せず、さらなる向上を目指す姿勢を表現したい場面でも活用できます。「サービスの質向上に努めてまいります」のように使うことで、継続的な改善への取り組みを約束できるのです。
この場合、具体的な改善点や目標と組み合わせることで、より説得力のある表現になります。
3. 今後の取り組み姿勢を表明するとき
新しいプロジェクトや役職に就いた際の挨拶でも、「努めてまいります」は重宝します。「皆様のご期待に応えられるよう努めてまいります」という表現で、責任感と意欲を同時に示すことができるでしょう。
特に履歴書や面接では、入社後の抱負を語る際によく使われる表現です。
4. 信頼回復を図りたいとき
一度失った信頼を取り戻したい場面では、言葉だけでなく行動への意志を示すことが重要です。「信頼回復に努めてまいります」という表現で、具体的な取り組みへの決意を伝えることができます。
この場合、どのような方法で信頼回復を図るかも併せて説明すると、より効果的でしょう。
5. 決意や覚悟を伝えるとき
重要な責任を負う立場になった際や、困難な状況に立ち向かう際にも使えます。「全力で取り組んでまいります」「最善を尽くして努めてまいります」といった表現で、強い決意を相手に伝えることができるのです。
ただし、大げさになりすぎないよう、状況に応じた適切な表現を選ぶことが大切です。
メールで使える「努めてまいります」の例文集
ビジネスメールでの「努めてまいります」の使い方を、具体的な例文とともに紹介します。場面に応じて適切な表現を選べるよう、バリエーション豊かな例文を用意しました。
謝罪メールでの使い方
謝罪メールでは、お詫びの気持ちと今後の改善への意志を明確に示すことが重要です。相手の立場や関係性に応じて、適切な敬語レベルを選びましょう。
お客様への謝罪メール例文
「この度は、弊社の不手際によりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。原因を徹底的に調査し、再発防止策を講じてまいります。今後このようなことがないよう、全社一丸となって努めてまいります。」
このように、具体的な対応策と組み合わせることで、誠意が伝わりやすくなります。
社内での謝罪メール例文
「報告が遅れてしまい、申し訳ございませんでした。今後は進捗状況をこまめに共有し、円滑な業務進行に努めてまいります。」
社内向けでは、やや簡潔な表現でも問題ありません。
取引先への謝罪メール例文
「納期の遅延により、貴社の業務に支障をきたしましたこと、深くお詫び申し上げます。管理体制を見直し、今後は確実な納期管理に努めてまいります。」
取引先への謝罪では、具体的な改善策を示すことで信頼回復を図ります。
改善報告メールでの使い方
問題が解決した際の報告メールでも、「努めてまいります」を効果的に使えます。過去の問題を振り返りつつ、未来への取り組みを示すことが大切です。
業務改善を伝える例文
「ご指摘いただいた点について改善策を実施いたしました。今後も継続的な業務改善に努めてまいります。」
改善の成果を報告しつつ、継続的な取り組みへの意志を示しています。
サービス向上を約束する例文
「お客様からのご意見を参考に、サービス内容を見直しました。より良いサービス提供に努めてまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。」
顧客の声を大切にする姿勢と、継続的な向上への意欲を表現しています。
挨拶メールでの使い方
新しい環境や役職での挨拶メールでも、「努めてまいります」は重要な役割を果たします。相手との関係構築に向けた前向きな姿勢を示すことができるでしょう。
着任挨拶での例文
「この度、○○部に配属となりました△△と申します。一日も早く業務に慣れ、チームの一員として貢献できるよう努めてまいります。」
新しい環境への適応意欲と、チームへの貢献意識を表現しています。
年始挨拶での例文
「本年も皆様のご期待に応えられるよう、サービス向上に努めてまいります。変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。」
年始の挨拶では、一年間の取り組みへの決意を示すことで、相手との関係継続への意志を表現できます。
履歴書・職務経歴書での「努めてまいります」の使い方
就職活動では、「努めてまいります」を適切に使うことで、採用担当者に好印象を与えることができます。ただし、使いすぎると逆効果になることもあるので注意が必要です。
志望動機での効果的な使い方
志望動機では、入社後の具体的な目標や取り組みと組み合わせて使うことが重要です。「御社の○○事業の発展に貢献できるよう努めてまいります」のように、会社の事業内容と自分の目標を結びつけて表現しましょう。
単に「がんばります」と書くよりも、責任感と意欲を同時に示すことができます。ただし、具体性に欠ける表現にならないよう、どのような方法で貢献するかも併せて記載することが大切です。
自己PRでの活用方法
自己PRでは、過去の経験を活かして今後どのように成長していきたいかを表現する際に使えます。「これまでの経験を活かし、更なるスキル向上に努めてまいります」といった表現で、継続的な成長への意欲を示すことができるでしょう。
この場合も、具体的なスキルや成長計画と組み合わせることで、説得力のある自己PRになります。
職務経歴書での表現例
職務経歴書では、各職歴での成果を記載した後に、今後の展望として使うことができます。「培った経験を活かし、より高い成果を上げられるよう努めてまいります」のように、過去の実績と未来への意欲を結びつけて表現しましょう。
ただし、職務経歴書では事実の記載が中心となるため、使用は最小限に留めることをおすすめします。
「努めてまいります」と似た表現の使い分け
「努めてまいります」と似た意味を持つ表現は数多くあります。それぞれの微妙な違いを理解して、場面に応じて適切に使い分けることが大切です。
「頑張ります」との違い
「頑張ります」は日常的でカジュアルな表現です。友人や同僚との会話では自然ですが、正式なビジネス文書や目上の人への連絡では適切ではありません。
「努めてまいります」は敬語表現であり、相手への敬意を示しながら自分の意欲を伝えることができます。履歴書やビジネスメールでは、「頑張ります」ではなく「努めてまいります」を使うのが適切でしょう。
「尽力いたします」との使い分け
「尽力いたします」は「全力を尽くします」という意味で、「努めてまいります」よりもやや強い表現です。重要なプロジェクトや緊急事態への対応など、特に力を入れて取り組む場面で使われます。
日常的な業務改善や継続的な取り組みには「努めてまいります」が適しており、特別な状況や重要な案件には「尽力いたします」を使うと良いでしょう。
「精進いたします」との違い
「精進いたします」は「修行や努力を重ねて向上を図ります」という意味で、自己研鑽や技能向上の文脈でよく使われます。やや古風で格式高い表現のため、伝統的な業界や格式を重んじる場面で好まれる傾向があります。
「努めてまいります」の方が現代的で幅広い場面で使いやすい表現と言えるでしょう。
「取り組んでまいります」との使い分け
「取り組んでまいります」は具体的な行動や課題への対処を表現する際に使われます。「努めてまいります」が姿勢や心構えを表すのに対し、「取り組んでまいります」はより具体的な行動を示唆します。
「課題解決に取り組んでまいります」「新プロジェクトに取り組んでまいります」のように、明確な対象がある場合に適しています。
「努めてまいります」を使うときの注意点3つ
「努めてまいります」は便利な表現ですが、使い方を間違えると逆効果になることもあります。以下の注意点を押さえて、適切に活用しましょう。
1. 多用しすぎると軽い印象になる
同じメールや文書の中で「努めてまいります」を何度も使うと、定型的で心がこもっていない印象を与えてしまいます。本当に重要な部分でのみ使用し、他の部分では類似表現を使い分けることが大切です。
「取り組みます」「心がけます」「注意いたします」など、バリエーションを持たせることで、より自然で説得力のある文章になります。
2. 具体的な行動とセットで使う
「努めてまいります」だけでは抽象的すぎて、相手に具体的なイメージを与えることができません。どのような方法で努力するのか、いつまでに何を達成するのかを明確にすることが重要です。
「毎日の進捗確認を徹底し、納期管理の向上に努めてまいります」のように、具体的な行動と組み合わせることで説得力が増します。
3. 相手や場面に応じた使い分けが大切
すべての場面で「努めてまいります」が適切とは限りません。相手との関係性や状況の深刻さに応じて、適切な敬語レベルを選ぶことが必要です。
軽微な問題には「気をつけます」、重大な問題には「尽力いたします」など、状況に応じた表現を選びましょう。
よくある間違いと正しい使い方
「努めてまいります」を使う際によく見られる間違いと、正しい使い方を確認しておきましょう。適切な表現を身につけることで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
敬語の間違いパターン
「努めさせていただきます」という表現は、過度な敬語として不自然に感じられることがあります。「努めてまいります」で十分に丁寧な表現になっているため、さらに敬語を重ねる必要はありません。
また、「努めていきます」という表現も、ビジネス文書では「努めてまいります」の方が適切です。謙譲語を使うことで、相手への敬意をより明確に示すことができます。
文脈に合わない使い方
「努めてまいります」は未来への取り組みを表す表現のため、過去の出来事について使うのは適切ではありません。「昨日は遅刻しないよう努めてまいりました」のような使い方は不自然です。
過去の努力について述べる場合は、「努めました」「心がけました」などの表現を使いましょう。
より自然な表現への言い換え例
状況によっては、「努めてまいります」以外の表現の方が自然な場合もあります。「改善に取り組みます」「注意いたします」「心がけます」など、文脈に応じて適切な表現を選ぶことが大切です。
特に口頭でのコミュニケーションでは、やや簡潔な表現の方が自然に聞こえることもあります。
「努めてまいります」を使った印象的な文章の作り方
単に「努めてまいります」を使うだけでなく、相手の心に響く文章を作るためのコツを紹介します。言葉に込める気持ちと表現技術の両方が重要です。
相手の心に響く伝え方のコツ
相手の立場に立って考えることが、印象的な文章を作る第一歩です。相手がどのような気持ちでいるか、何を求めているかを想像し、それに応える内容を盛り込みましょう。
謝罪の場面では、相手の困惑や不安に共感を示し、具体的な解決策と組み合わせることで、より説得力のある文章になります。
具体性を加える方法
「努めてまいります」に具体的な内容を加えることで、相手により明確なイメージを与えることができます。「いつまでに」「どのような方法で」「どの程度まで」といった要素を盛り込むことが効果的です。
「来月末までに新しいチェック体制を構築し、同様のミスの再発防止に努めてまいります」のように、期限と方法を明確にすることで信頼性が向上します。
誠意が伝わる文章構成
文章全体の構成も重要な要素です。問題の認識→謝罪→原因分析→改善策→今後の決意という流れで構成することで、論理的で誠意のある文章になります。
「努めてまいります」は、この流れの最後に配置することで、前向きな印象で文章を締めくくることができるでしょう。
まとめ
「努めてまいります」は、ビジネスシーンで自分の意欲と相手への敬意を同時に表現できる便利な言葉です。謝罪メールから履歴書まで、幅広い場面で活用できる表現として覚えておくと良いでしょう。
ただし、使い方には注意が必要です。具体的な行動計画と組み合わせること、多用しすぎないこと、場面に応じて適切な表現を選ぶことが大切でした。
今回紹介した例文や注意点を参考に、あなたも「努めてまいります」を効果的に使ってみてください。適切な敬語表現を身につけることで、ビジネスコミュニケーションがより円滑になり、相手からの信頼も得やすくなるはずです。
言葉は相手との関係を築く大切な道具です。心を込めて使うことで、きっと良い結果につながるでしょう。