転職を2〜3回くり返してしまい、「自分っておかしいのかな」と悩んでいませんか。実際には、転職をくり返す人の多くに共通した心理的な特徴があります。
転職回数の多さが必ずしも悪いことではありませんが、本人が辛い思いをしているなら改善の余地があります。この記事では、転職をくり返す人の心理や共通点、そして病気との関連性について詳しく見ていきます。
自分の転職パターンを理解することで、今後のキャリア選択がより良いものになるかもしれません。
転職を繰り返す人の心理とは？5つの根本要因
転職をくり返す人の心理には、いくつかの共通したパターンがあります。表面的な転職理由の奥に隠れている、本当の気持ちを探ってみましょう。
収入アップを求める心理の背景は？
多くの人が転職を考える最大の理由は、収入への不満です。「今の給料では生活が苦しい」「もっと稼げるはずだ」という思いが、転職への原動力になります。
しかし、収入アップを求める心理の裏には、自分の価値を認めてもらいたいという気持ちが隠れています。給料の額は、会社からの評価を数字で表したものだからです。
転職のたびに「今度こそ高い給料を」と思っても、根本的な問題が解決されないまま、また同じ不満を抱えることがよくあります。
やりがいを追求したい気持ちとは？
「この仕事にやりがいを感じない」「もっと意味のある仕事がしたい」という思いも、転職をくり返す大きな心理的要因です。
やりがいを求める気持ちは決して悪いものではありません。ただし、理想のやりがいを求めすぎると、現実とのギャップに苦しむことになります。
完璧なやりがいを感じられる仕事は、実際にはなかなか見つからないものです。そのため、「こんなはずじゃなかった」という失望から、また転職を考えてしまいます。
人間関係をリセットしたい心理は？
職場の人間関係に疲れてしまい、「いっそのこと全部リセットしたい」と考える人も多くいます。上司との相性が悪い、同僚とうまくいかない、といった問題は誰にでも起こりえます。
人間関係の悩みは、その場で解決するよりも転職で逃げる方が簡単に感じられます。新しい職場なら、今度こそうまくやれるかもしれないという期待もあります。
ただし、人間関係の問題は職場を変えても繰り返されることが多いのが現実です。コミュニケーションの取り方や人との距離感など、根本的な部分が変わらないからです。
成長機会を求める転職心理とは？
「この会社にいても成長できない」「新しいスキルを身につけたい」という向上心も、転職をくり返す心理の一つです。
成長への意欲は素晴らしいことですが、転職のたびに一からスタートすることになります。深い専門性を身につける前に職場を変えてしまうため、結果として成長が中途半端になってしまいます。
また、成長の機会は転職先にも限りがあります。どの職場でも、ある程度の期間をかけて信頼関係を築くことが成長への近道になります。
現状逃避したい心理状態の正体は？
転職をくり返す人の中には、問題と向き合うことを避けて、転職で解決しようとする傾向があります。これは現状逃避の一種です。
仕事で失敗したとき、困難な状況に直面したとき、問題を解決する努力よりも「転職すれば楽になる」と考えてしまいます。
現状逃避の心理は、短期的には楽になれますが、根本的な解決にはなりません。同じような問題に出会ったとき、また同じパターンをくり返してしまいます。
より詳しい転職理由について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
🚩関連記事：転職理由ランキング2024｜本音と建前の使い分け術
転職を繰り返す人の心理的特徴6パターン
転職をくり返す人には、性格や行動パターンに共通した特徴があります。これらの特徴を理解することで、自分の転職パターンを客観視できるようになります。
完璧主義で理想が高すぎる性格とは？
転職をくり返す人の多くは、完璧主義的な傾向を持っています。「理想の職場環境」「完璧な上司」「最高の待遇」を求めすぎてしまいます。
完璧主義の人は、少しでも不満があると「この職場は自分に合わない」と判断してしまいます。100%満足できる職場を探し続けるため、転職をくり返すことになります。
現実には、完璧な職場は存在しません。どの会社にも良い面と悪い面があり、ある程度の妥協は必要です。完璧を求めすぎることで、逆に安定したキャリアを築くチャンスを逃してしまいます。
飽きっぽく継続が苦手な傾向は？
新しいことに興味を持ちやすく、一つのことを続けるのが苦手な人も転職をくり返しがちです。最初はやる気に満ちていても、慣れてくると物足りなさを感じてしまいます。
飽きっぽい性格の人は、仕事に限らず趣味や習い事でも同じパターンをくり返します。新鮮さがなくなると、すぐに次の刺激を求めたくなります。
継続することの価値を理解していないため、深い専門性や信頼関係を築く前に次の職場に移ってしまいます。結果として、表面的なスキルしか身につけられません。
自己評価が不安定な心理状態とは？
自分に対する評価が不安定で、他人からの評価に大きく左右される人も転職をくり返します。上司に褒められると調子に乗り、叱られると極端に落ち込んでしまいます。
自己評価が不安定だと、少しの批判や指摘でも「この職場では認められない」と感じてしまいます。自分の価値を確認するために、新しい職場で再スタートを切りたくなります。
また、自分の能力を過大評価している場合もあります。周りからの評価が期待より低いと、「正当に評価されていない」と不満を抱き、転職を考えてしまいます。
コミュニケーション能力に課題がある？
職場での人間関係がうまく築けない人も、転職をくり返す傾向があります。同僚との雑談が苦手、上司への報告がうまくできない、チームワークが取れないなどの問題があります。
コミュニケーション能力の問題は、どの職場に行っても同じように現れます。しかし、本人は「この職場の雰囲気が合わない」と考えがちです。
人間関係の構築には時間がかかりますが、その前に転職してしまうため、いつまでも改善されません。コミュニケーションスキルを身につける機会を逃してしまいます。
短期離職をくり返している方には、履歴書の書き方についてこちらの記事が参考になります。
🚩関連記事：短期離職を繰り返した人の履歴書対策｜面接突破法
自己分析不足で適性が分からない？
自分の適性や本当にやりたいことが明確でない人も、転職をくり返しやすい特徴があります。なんとなく転職活動を始めて、なんとなく内定をもらった会社に入ってしまいます。
自己分析が不足していると、入社後に「思っていた仕事と違う」「自分には向いていない」と感じることが多くなります。適性に合わない仕事を続けるのは辛いため、また転職を考えてしまいます。
また、自分の強みや弱みが分からないまま転職活動をするため、同じような失敗をくり返してしまいます。根本的な問題が解決されないからです。
キャリアビジョンが曖昧な状態とは？
将来のキャリアについて明確なビジョンを持っていない人も、転職をくり返す傾向があります。「5年後、10年後にどうなりたいか」が分からないため、目先の条件だけで転職を決めてしまいます。
キャリアビジョンが曖昧だと、転職の判断基準も曖昧になります。給料が少し上がる、通勤時間が短くなる、といった小さな理由で転職を決めてしまいがちです。
長期的な視点がないため、その転職が本当に自分のためになるかを判断できません。結果として、場当たり的な転職をくり返すことになります。
転職を繰り返す心理と病気の関連性
転職をくり返すパターンが、実は病気や発達障害と関連している場合があります。単なる性格の問題ではなく、医学的なサポートが必要なケースもあります。
ADHD傾向が転職心理に与える影響は？
ADHD（注意欠如・多動症）の特性を持つ人は、転職をくり返しやすい傾向があります。集中力が続かない、細かい作業が苦手、計画性がないなどの特性が、職場での困難につながります。
ADHDの人は、新しい環境では最初はやる気を持って取り組めます。しかし、慣れてくると集中力が散漫になり、ミスが増えてしまいます。上司や同僚からの指摘が増えると、居心地が悪くなって転職を考えます。
また、衝動性の強さから、深く考えずに転職を決断してしまうこともあります。感情的になったときに「もうこの会社は嫌だ」と思い、勢いで退職してしまいます。
ADHD傾向について詳しく知りたい方は、こちらの記事で診断方法を確認できます。
🚩関連記事：ADHD診断テスト｜転職癖との関連性をセルフチェック
うつ病が引き起こす転職への逃避心理とは？
うつ病になると、仕事に対するやる気や集中力が大幅に低下します。これまでできていた仕事ができなくなり、周りからの評価も下がってしまいます。
うつ病の人は、自分の能力低下を「この職場が合わない」と考えがちです。実際には病気による症状なのに、環境を変えれば改善すると思い込んでしまいます。
また、うつ病特有の思考パターンとして、すべてを悲観的に捉えてしまう傾向があります。小さな失敗でも「もうダメだ」と感じ、転職で解決しようとします。
うつ病と転職活動の両立について詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
🚩関連記事：うつ病と転職活動｜症状改善と仕事探しの両立法
適応障害と転職を繰り返す心理の関係は？
適応障害は、特定のストレス要因によって心身の症状が現れる病気です。職場の環境や人間関係がストレスとなり、不安や抑うつ状態になります。
適応障害の人は、ストレスの原因から離れることで症状が改善します。そのため、転職によって一時的に楽になることが多いです。しかし、新しい職場でも同じようなストレスに出会うと、再び症状が現れます。
適応障害の再発率は約60%と高く、根本的な対処法を身につけないと転職をくり返してしまいます。ストレス耐性を高める訓練や、対処法を学ぶことが重要です。
不安障害が転職決断に与える影響とは？
不安障害の人は、将来への不安が異常に強く、安定を求めて転職をくり返すことがあります。「この会社は大丈夫だろうか」「リストラされるのではないか」といった不安に支配されます。
また、対人不安が強い場合は、職場の人間関係に過度に敏感になります。同僚の何気ない言葉や表情を悪い意味に受け取り、「嫌われている」と思い込んでしまいます。
不安障害による転職は、根本的な解決にならないことが多いです。不安の原因は内面にあるため、環境を変えても同じような不安を感じてしまいます。
転職を繰り返す人の心理診断チェック
自分の転職パターンが正常な範囲なのか、それとも何らかの問題があるのかを客観的に判断することは大切です。簡単な診断方法を紹介します。
転職心理の自己診断方法とは？
まず、これまでの転職理由を振り返ってみましょう。同じような理由で転職をくり返していませんか。人間関係、給料、やりがいなど、毎回似たような不満を抱いているなら要注意です。
次に、転職を決断するタイミングを思い出してください。感情的になったときに急に決めていませんか。冷静に考える時間を十分に取らずに決断している場合は、衝動的な傾向があります。
転職後の満足度も重要なポイントです。最初は「今度こそ」と思っても、半年から1年で同じような不満を感じ始める場合は、問題が外部ではなく内部にある可能性があります。
転職心理の診断について、より詳しいツールを知りたい方はこちらをご覧ください。
🚩関連記事：転職心理診断ツール｜無料で使える適性検査5選
病気の可能性をチェックする方法は？
転職をくり返すパターンに加えて、日常生活での困りごとがないかチェックしてみましょう。集中力が続かない、忘れ物が多い、時間管理が苦手などの症状があれば、ADHDの可能性があります。
気分の落ち込みが長期間続く、やる気が出ない、睡眠や食欲に変化があるなどの症状があれば、うつ病の可能性があります。特に、転職後に一時的に改善してもまた悪化するパターンがある場合は要注意です。
不安が強すぎて日常生活に支障がある、人との関わりを極端に避けるようになった、などの症状があれば、不安障害の可能性もあります。
専門機関での相談が必要な症状は？
以下の症状が複数当てはまる場合は、専門機関への相談を検討してください。
転職をくり返すことで生活が不安定になっている場合は、早めの相談が必要です。金銭面での困窮、家族関係の悪化、社会的信用の失墜などが起きているなら、専門的なサポートが役立ちます。
また、転職をくり返すことに対して強い罪悪感や自己嫌悪を感じている場合も相談をおすすめします。精神的な負担が大きすぎると、さらに判断力が低下してしまいます。
転職以外の場面でも同じようなパターンをくり返している場合は、根本的な問題がある可能性があります。恋愛関係、友人関係、趣味なども続かない場合は要注意です。
転職を繰り返す心理から抜け出す5つの対策
転職をくり返すパターンから抜け出すためには、根本的な原因と向き合い、具体的な対策を実行することが必要です。
自己理解を深める心理分析方法とは？
まず、自分の価値観を明確にしましょう。仕事において何を最も重視するのか、お金・やりがい・安定・成長など、優先順位をつけてみてください。
次に、自分の性格特性を客観視してください。完璧主義、飽きっぽい、人見知り、せっかちなど、自分の特徴を正直に書き出してみましょう。長所も短所も含めて受け入れることが大切です。
過去の転職経験を振り返り、パターンを見つけてください。どんなときに転職したくなるのか、どんな職場が合わなかったのか、具体的に分析してみましょう。
自己分析の詳しい方法について知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
🚩関連記事：自己分析シート無料ダウンロード｜転職成功の適性診断
転職理由を明確化する方法は？
転職を考えるときは、理由を具体的に言語化してください。「なんとなく嫌」「合わない気がする」といった曖昧な理由では、同じ問題をくり返してしまいます。
転職理由を「改善可能な問題」と「改善困難な問題」に分けて考えてみましょう。人間関係やスキル不足などは、努力次第で改善できるかもしれません。
また、転職以外の解決方法がないかも検討してください。部署異動、業務内容の相談、スキルアップの機会など、現在の職場でできることはありませんか。
キャリアプランを具体化する手順は？
5年後、10年後の理想の姿を具体的に描いてみましょう。どんな仕事をしていたいか、どのくらいの収入を得たいか、どんなライフスタイルを送りたいかを明確にしてください。
理想の姿から逆算して、そのために必要なスキルや経験を洗い出しましょう。今の職場で身につけられるものはないか、転職が本当に必要なのかを冷静に判断してください。
キャリアプランは定期的に見直すことも大切です。年齢や環境の変化に合わせて、現実的な目標に修正していきましょう。
キャリアプランの具体的な作成方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
🚩関連記事：キャリアプラン作成テンプレート｜30代からの設計法
職場選びの判断基準を見直す方法は？
転職活動では、完璧な職場を求めすぎないことが重要です。「絶対に譲れない条件」「できれば欲しい条件」「どちらでも良い条件」に分けて考えてみましょう。
企業研究を徹底的に行い、入社前にできるだけ多くの情報を集めてください。面接では、こちらからも積極的に質問をして、職場の雰囲気や働き方を確認しましょう。
また、転職理由と転職先の選択に一貫性があるかチェックしてください。人間関係が嫌で転職するなら、新しい職場の人間関係をしっかり確認することが必要です。
人間関係の改善方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
🚩関連記事：職場の人間関係改善法｜転職前に試したい5つの対策
専門的サポートを活用する方法とは？
一人で悩まず、転職エージェントやキャリアカウンセラーの力を借りることをおすすめします。客観的な視点から、転職の必要性や適性を判断してもらえます。
病気や発達障害の疑いがある場合は、医療機関での相談も検討してください。適切な診断と治療により、転職をくり返すパターンから抜け出せるかもしれません。
また、就労移行支援事業所など、働くことに困難を抱える人向けのサービスもあります。転職活動のサポートだけでなく、働き続けるためのスキル習得もできます。
転職エージェントの効果的な活用法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
🚩関連記事：転職エージェント活用法｜繰り返し転職を防ぐサポート術
転職成功事例について知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
🚩関連記事：転職成功事例集｜繰り返し転職から脱出した体験談
まとめ
転職をくり返す人の心理には、収入アップ・やりがい追求・人間関係リセット・成長機会・現状逃避という5つの根本要因があります。これらの心理的背景を理解することで、自分の転職パターンを客観視できるようになります。
転職をくり返す人に共通する特徴として、完璧主義・飽きっぽさ・自己評価の不安定さ・コミュニケーション能力の課題・自己分析不足・キャリアビジョンの曖昧さが挙げられます。これらの特徴に当てはまる場合は、転職以外の解決策も検討してみてください。
また、ADHD・うつ病・適応障害・不安障害などの病気が転職をくり返す原因になっている場合もあります。日常生活での困りごとがある場合は、専門機関への相談を検討することをおすすめします。
転職をくり返すパターンから抜け出すためには、自己理解を深め、転職理由を明確化し、キャリアプランを具体化することが重要です。また、職場選びの判断基準を見直し、専門的なサポートを活用することで、より良いキャリア形成ができるでしょう。
転職は人生の重要な選択です。感情的な判断ではなく、冷静で計画的なアプローチを心がけることで、満足度の高いキャリアを築くことができます。
