起業するにはどういう手続きが必要?会社設立までの方法を解説!

起業したいと思っても、実際にどんな手続きが必要なのか分からなくて不安になりますよね。個人事業主として始めるのか、会社を設立するのか、それぞれで必要な手続きが全然違うんです。

でも大丈夫。起業の手続きは思っているより複雑ではありません。順序立てて進めていけば、誰でもスムーズに起業できます。

この記事では、起業するために必要な手続きを分かりやすく解説します。個人事業主と法人のどちらを選ぶべきか、それぞれの手続きの流れ、起業後にやるべきことまで、あなたの起業を成功に導く情報をお伝えします。

起業する前に知っておきたい基本知識

起業の手続きを始める前に、まずは基本的な知識を身につけておきましょう。どんな選択肢があるのか、費用はどれくらいかかるのかを理解しておくことで、自分に合った起業方法を選べます。

個人事業主と法人の違いとは?

起業する方法は大きく分けて2つあります。個人事業主として始める方法と、法人を設立する方法です。

個人事業主は、あなた個人が事業を行う形態です。開業届を提出するだけで始められるので、手続きがとても簡単。費用もほとんどかかりません。

一方、法人は会社という組織を作って事業を行います。株式会社や合同会社などの種類があり、設立には定款の作成や登記申請などの手続きが必要です。

どちらを選ぶべき?判断基準3つ

どちらを選ぶか迷ったときは、次の3つのポイントで判断してみてください。

まず事業規模です。小さく始めたい場合は個人事業主、大きく展開したい場合は法人が向いています。

次に信用度。取引先や金融機関からの信用を重視するなら、法人の方が有利です。

最後に税金面。所得が少ないうちは個人事業主の方が税負担は軽くなります。年間所得が500万円を超えるようになったら、法人化を検討するタイミングです。

起業にかかる費用の目安

個人事業主として起業する場合、基本的に費用はかかりません。開業届の提出は無料で、必要な書類も自分で作成できます。

法人設立の場合は、株式会社で約25万円、合同会社で約10万円の費用が必要です。これには定款認証費用や登録免許税が含まれます。

ただし、これらは最低限の費用。実際には印鑑作成費や専門家への依頼費用なども考慮する必要があります。

個人事業主として起業する手続き

個人事業主として起業するのは、とてもシンプルです。主な手続きは開業届の提出だけ。それでも知っておくべきポイントがいくつかあります。

開業届の提出方法と必要書類

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。事業を始めてから1か月以内に提出することになっていますが、遅れても罰則はありません。

提出方法は3つあります。税務署に直接持参する方法、郵送する方法、そしてe-Taxで電子申請する方法です。

必要な書類は開業届本体と、本人確認書類、マイナンバーが分かるものです。印鑑も必要ですが、認印で大丈夫。シャチハタのようなスタンプ式は使えないので注意してください。

提出期限と提出先

開業届は事業開始から1か月以内に提出します。提出先は、事業所の所在地を管轄する税務署です。

自宅で事業を行う場合は、住所地の税務署に提出してください。

マイナンバーと本人確認書類の準備

開業届にはマイナンバーの記載が必要です。マイナンバーカードがあれば、これ1枚で本人確認とマイナンバーの確認ができます。

マイナンバーカードがない場合は、通知カードまたはマイナンバーが記載された住民票と、運転免許証などの本人確認書類を用意してください。

青色申告承認申請書の提出

個人事業主になったら、青色申告承認申請書も一緒に提出することをおすすめします。これを提出しないと、自動的に白色申告になってしまいます。

青色申告にすると、最大65万円の特別控除が受けられます。税金を安くできるので、ぜひ活用してください。

申請書の提出期限は、開業年の3月15日まで。1月や2月に開業する場合は、開業届と同時に提出しましょう。

従業員を雇う場合の追加手続き

従業員を雇う予定がある場合は、追加の手続きが必要です。

給与支払事務所等の開設届出書を税務署に提出してください。従業員の給与から源泉所得税を天引きして納付する義務が生じます。

また、労働基準監督署やハローワークでの手続きも必要になります。労働保険や雇用保険の加入手続きを忘れずに行いましょう。

法人として起業する手続き5ステップ

法人設立は個人事業主より複雑ですが、順序立てて進めれば大丈夫です。5つのステップに分けて、詳しく見ていきましょう。

ステップ1:会社の基本事項を決める

まずは会社の基本的な情報を決めます。これらの情報は定款に記載するので、慎重に検討してください。

決めるべき項目は、会社名、事業目的、本店所在地、資本金、事業年度、役員構成です。

会社名の決め方と注意点

会社名は商号とも呼ばれます。自由に決められますが、いくつかのルールがあります。

株式会社の場合は「株式会社」を前か後ろに付ける必要があります。また、他の会社と同じ名前は使えません。

銀行や保険会社など、特定の業種を連想させる言葉は使用制限があります。事前に法務局で類似商号の調査をしておくと安心です。

事業目的の設定方法

事業目的は、会社がどんな事業を行うかを明確にするものです。将来やりたい事業も含めて、幅広く設定しておくことをおすすめします。

ただし、あまりに多すぎると何の会社か分からなくなります。メインの事業を中心に、関連する事業を5〜10個程度に絞りましょう。

本社所在地と資本金の決定

本店所在地は会社の住所です。自宅でも構いませんし、レンタルオフィスでも大丈夫。

資本金は会社の元手となるお金です。現在は1円から設立できますが、取引先からの信用を考えると100万円以上は用意したいところ。

初期投資と半年分の運転資金を目安に決めると良いでしょう。

ステップ2:印鑑の作成と準備

会社設立には専用の印鑑が必要です。個人の印鑑とは別に、法人用の印鑑を作成してください。

必要な印鑑の種類

法人で使う印鑑は主に3種類あります。

代表者印は法務局に登録する印鑑で、最も重要なものです。銀行印は金融機関での手続きに使います。角印は請求書や領収書などの日常業務で使用します。

最初は代表者印だけでも設立できますが、後々必要になるので3本セットで作ることをおすすめします。

印鑑作成のタイミング

印鑑は定款作成前に用意しておきましょう。定款の認証手続きで必要になります。

作成には数日から1週間程度かかることが多いので、早めに注文してください。

ステップ3:定款の作成と認証

定款は会社のルールブックのようなものです。会社の基本情報や運営方法を記載します。

定款に記載する内容

定款には絶対に記載しなければならない事項があります。商号、事業目的、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額、発起人の氏名・住所などです。

これらに加えて、株式の内容や取締役の任期なども記載します。

公証役場での認証手続き

株式会社の場合、定款は公証役場で認証を受ける必要があります。合同会社は認証不要です。

公証役場での手続きには、定款、発起人の印鑑証明書、実質的支配者となるべき者の申告書などが必要です。

認証費用は約5万円。電子定款にすると印紙代4万円が不要になるので、専門家に依頼する場合は電子定款を選びましょう。

ステップ4:資本金の払込み

定款認証が完了したら、資本金を払い込みます。この時点ではまだ会社は設立されていないので、発起人個人の口座に振り込んでください。

払込み後は、通帳のコピーを取って払込証明書を作成します。これも登記申請で必要な書類です。

ステップ5:法人登記申請

最後に法務局で登記申請を行います。これで会社が正式に設立されます。

登記申請書の作成方法

登記申請書には、会社の基本情報を記載します。商号、本店所在地、事業目的、資本金、役員の氏名・住所などです。

書式は法務省のホームページでダウンロードできます。記載例も公開されているので、参考にしてください。

法務局での手続きの流れ

登記申請は本店所在地を管轄する法務局で行います。申請書類一式を提出すると、審査が始まります。

審査期間は通常1〜2週間程度。問題がなければ登記が完了し、会社が正式に設立されます。

起業後に必要な届出と手続き

会社設立や開業届の提出が完了しても、まだやるべきことがあります。税務署や年金事務所などへの届出を忘れずに行いましょう。

税務署への届出書類

法人を設立した場合、税務署への届出が必要です。個人事業主の場合も、追加で提出すべき書類があります。

法人設立届出書

法人設立届出書は、会社を設立したことを税務署に知らせる書類です。設立から2か月以内に提出してください。

書類には会社の基本情報と、設立時の貸借対照表を添付します。

青色申告の承認申請書

法人でも青色申告の申請ができます。個人事業主と同様に、税制上の優遇措置を受けられます。

申請期限は設立から3か月以内、または最初の事業年度終了日のいずれか早い日までです。

給与支払事務所等の開設届出書

役員報酬を支払う場合や従業員を雇う場合は、給与支払事務所等の開設届出書を提出します。

給与から源泉所得税を天引きして納付する義務が生じるためです。

都道府県・市町村への届出

税務署だけでなく、都道府県や市町村にも法人設立の届出が必要です。

地方税の課税対象になるため、それぞれの自治体に法人設立届出書を提出してください。

提出期限や必要書類は自治体によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

年金事務所での社会保険手続き

法人を設立した場合、社会保険への加入が義務付けられています。たとえ従業員がいなくても、代表者1人の会社でも加入しなければなりません。

年金事務所で厚生年金保険と健康保険の加入手続きを行ってください。設立から5日以内に届出が必要です。

ハローワークでの雇用保険手続き

従業員を雇う場合は、雇用保険の手続きも必要です。ハローワークで雇用保険適用事業所設置届を提出してください。

従業員を雇用してから10日以内に手続きを行う必要があります。

起業手続きをスムーズに進める5つのコツ

起業の手続きは複雑に感じるかもしれませんが、コツを押さえれば効率的に進められます。

手続きのスケジュールを事前に立てる

起業の手続きには時間がかかります。法人設立の場合、準備から登記完了まで1か月半程度は見込んでおきましょう。

事業開始予定日から逆算して、スケジュールを立ててください。余裕を持った計画を立てることで、慌てずに手続きを進められます。

専門家に相談するタイミング

すべて自分で行うこともできますが、専門家に相談することで手続きがスムーズになります。

司法書士は登記手続きの専門家、税理士は税務関係の専門家です。複雑な手続きや不安な点があれば、遠慮なく相談してください。

必要書類を事前に準備しておく

手続きには多くの書類が必要です。印鑑証明書や住民票など、取得に時間がかかるものもあります。

必要書類のリストを作成し、早めに準備を始めましょう。書類には有効期限があるものもあるので、提出タイミングを考慮してください。

電子申請を活用する

最近は電子申請に対応している手続きが増えています。e-Taxや電子定款など、積極的に活用しましょう。

時間短縮になるだけでなく、印紙代が不要になるなどのメリットもあります。

手続き漏れを防ぐチェックリスト

手続きが多いので、漏れがないようにチェックリストを作成することをおすすめします。

完了した手続きにチェックを入れていけば、進捗状況が一目で分かります。

起業手続きでよくある失敗と対策

起業手続きでは、思わぬところで失敗することがあります。よくある失敗例を知って、事前に対策を立てておきましょう。

提出期限を過ぎてしまった場合の対処法

税務署への届出など、提出期限が決まっている手続きがあります。期限を過ぎてしまった場合でも、できるだけ早く提出してください。

青色申告の承認申請など、期限を過ぎると翌年からの適用になってしまうものもあります。スケジュール管理を徹底しましょう。

書類の不備で受理されなかった時の対応

提出した書類に不備があると、受理されないことがあります。法務局や税務署から連絡があったら、速やかに修正して再提出してください。

事前に窓口で相談することで、不備を防げます。不安な点があれば、遠慮なく質問しましょう。

資本金設定で後悔しないための注意点

資本金は後から変更できますが、手続きが必要で費用もかかります。最初の設定で後悔しないよう、慎重に検討してください。

あまりに少なすぎると信用面で不利になりますし、多すぎると税負担が重くなることもあります。事業内容に応じた適切な金額を設定しましょう。

起業後すぐに始めたい事業準備

手続きが完了したら、いよいよ事業開始です。スムーズなスタートを切るために、準備しておきたいことがあります。

事業用銀行口座の開設

個人事業主でも法人でも、事業用の銀行口座を開設することをおすすめします。プライベートと事業のお金を分けることで、経理処理が楽になります。

法人の場合は法人名義の口座が必要です。登記事項証明書や印鑑証明書などの書類を用意して、銀行で手続きを行ってください。

会計ソフトの導入

事業を始めると、売上や経費の管理が必要になります。会計ソフトを導入することで、効率的に経理処理ができます。

最近はクラウド型の会計ソフトが人気です。どこからでもアクセスできて、自動で帳簿を作成してくれる機能もあります。

事業計画書の作成

事業計画書は、あなたの事業の設計図のようなものです。目標や戦略を明確にすることで、事業の方向性がはっきりします。

融資を受ける際にも必要になるので、しっかりと作成しておきましょう。

集客方法の検討

どんなに良い商品やサービスがあっても、お客さんに知ってもらえなければ意味がありません。集客方法を事前に検討しておくことが大切です。

SNSやホームページ、チラシなど、様々な方法があります。ターゲットに合った方法を選んで、効果的に宣伝しましょう。

まとめ

今回の記事では、起業するために必要な手続きについて詳しく解説しました。以下に重要なポイントをまとめます。

  • 起業方法は個人事業主と法人の2種類があり、事業規模や信用度で選択する
  • 個人事業主は開業届の提出だけで始められて費用もかからない
  • 法人設立は5つのステップで進め、株式会社で約25万円の費用が必要
  • 起業後は税務署や年金事務所への届出を忘れずに行う
  • スケジュール管理と事前準備で手続きをスムーズに進められる
  • 書類の不備や期限切れに注意して確実に手続きを完了させる
  • 事業用口座の開設や会計ソフトの導入で事業開始の準備を整える

起業の手続きは確かに複雑ですが、一つずつ丁寧に進めていけば必ず完了できます。分からないことがあれば専門家に相談することも大切です。

あなたの起業が成功することを心から願っています。しっかりと準備を整えて、素晴らしい事業をスタートさせてくださいね。