転職活動が成功して新しい職場で働き始めたものの、1ヶ月目の給料日になっても振り込まれない。そんな経験をした人は意外と多いものです。
実は転職1ヶ月目に給料がもらえないのは、企業の給与計算システムによるもので、決して珍しいことではありません。しかし、事前に知らないと生活費に困ってしまう可能性があります。
この記事では、転職1ヶ月目に給料がもらえない理由と、その期間を乗り切るための具体的な対策を詳しく解説します。転職を検討している方や、すでに転職したばかりの方は、ぜひ参考にしてください。
転職1ヶ月目に給料なしは本当?支払い制度の真実
なぜ転職1ヶ月目の給料はもらえないのか?
転職1ヶ月目に給料がもらえない最大の理由は、多くの企業が「翌月払い」制度を採用しているからです。翌月払いとは、今月働いた分の給料を来月支払うシステムのことです。
たとえば、4月1日に入社した場合、4月分の給料は5月の給料日に支払われます。つまり、4月の給料日には何も振り込まれないということになります。これは企業の給与計算や経理処理の都合によるものです。
給与計算には時間がかかります。勤怠の集計、各種控除の計算、税金の計算など、複雑な処理が必要だからです。そのため、多くの企業では月末に締めて翌月に支払うシステムを採用しています。
給料支払い日はどのように決まるのか?
給料の支払い日は、企業ごとに異なる「締日」と「支払日」の組み合わせで決まります。最も一般的なパターンは「月末締め・翌月25日払い」です。
締日とは、給与計算の対象期間を区切る日のことです。月末締めの場合、1日から月末までの勤務分が対象になります。一方、20日締めの企業もあり、この場合は前月21日から当月20日までが対象期間になります。
支払日は企業によって15日、20日、25日、月末など様々です。土日祝日の場合は前営業日に支払われることが多いです。この締日と支払日の組み合わせによって、初回の給料がいつもらえるかが決まります。
転職1ヶ月目の給料なし期間はどれくらい続く?
転職1ヶ月目の無給期間は、入社日と企業の給与制度によって大きく変わります。最短で約1ヶ月、最長で約2ヶ月間給料がもらえない場合があります。
最も厳しいケースは、月初に入社して翌月払いの企業に転職した場合です。4月1日入社で「月末締め・翌月25日払い」の場合、初回の給料は5月25日になります。つまり、約2ヶ月近く給料がもらえないことになります。
逆に最も恵まれているのは、当月払いの企業に月末近くに入社した場合です。4月20日入社で「月末締め・当月25日払い」の場合、4月25日に日割り分の給料がもらえる可能性があります。ただし、このようなケースは稀です。
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転職1ヶ月目の給料パターン3タイプを徹底比較
当月払いでも満額もらえない理由とは?
当月払いの企業でも、転職1ヶ月目は満額の給料がもらえないことが多いです。これは「日割り計算」が適用されるためです。
日割り計算とは、実際に働いた日数分だけ給料を支払う計算方法です。たとえば、月給30万円の職場に4月15日から入社した場合、4月は16日間しか働いていません。そのため、30万円÷30日×16日=16万円程度の支給になります。
さらに、当月払いでも給与計算の締切日の関係で、初月は翌月払いになる企業もあります。「当月払い」と聞いても安心せず、詳細な支払い条件を確認することが大切です。
社会保険料や税金の控除も考慮する必要があります。転職初月は前職の源泉徴収票が間に合わず、税金が多めに引かれる場合があります。そのため、手取り額はさらに少なくなる可能性があります。
翌月払いで最大2ヶ月無給になる理由とは?
翌月払いの企業では、入社タイミングによって最大2ヶ月間給料がもらえない場合があります。これは給与計算の締切日と支払日の仕組みによるものです。
最も厳しいのは「20日締め・翌月10日払い」の企業に月初に入社した場合です。4月1日に入社すると、4月1日から20日までの分は5月10日、4月21日から月末までの分は6月10日の支払いになります。つまり、まとまった給料がもらえるのは約2ヶ月後になります。
「月末締め・翌月25日払い」でも、月初入社の場合は約2ヶ月待つことになります。4月1日入社なら、初回の給料は5月25日です。この間の生活費をどう確保するかが重要な課題になります。
企業によっては、転職者の事情を考慮して初回のみ前払いや仮払いをしてくれる場合もあります。ただし、これは企業の善意によるもので、制度として保証されているわけではありません。
日割り計算ではいくらもらえるのか?
日割り計算による給料は、入社日によって大きく変わります。月の前半に入社すれば多めに、後半に入社すれば少なめになります。
具体的な計算方法は「月給÷その月の日数×実働日数」です。月給25万円で4月10日入社の場合、25万円÷30日×21日=17万5千円となります。ただし、ここから社会保険料や税金が引かれるため、手取りはさらに少なくなります。
注意したいのは、企業によって計算方法が異なることです。土日を除いた実働日だけで計算する企業もあれば、暦日で計算する企業もあります。また、有給休暇の付与日数も入社日によって変わります。
日割り計算の場合、ボーナスの査定にも影響する可能性があります。半年後のボーナスが満額もらえない場合もあるため、年収ベースで考えると想定より少なくなることがあります。
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転職前に確認必須!給料なしを避ける3つのチェックポイント
労働条件通知書のどこを見れば分かるのか?
労働条件通知書には給料の支払い条件が必ず記載されています。確認すべきポイントは「賃金の締切日及び支払日」の項目です。
この項目には「毎月○日締め、翌月○日支払い」という形で具体的な日付が書かれています。たとえば「毎月末日締め、翌月25日支払い」と記載されていれば、翌月払いだと分かります。
支払い方法も重要な確認ポイントです。「銀行振込」「現金支給」のどちらか、振込の場合は振込手数料の負担者も記載されています。最近は振込手数料を会社が負担するケースが多いですが、念のため確認しておきましょう。
労働条件通知書は法的に提示が義務付けられている書類です。もし受け取っていない場合は、人事部に問い合わせて必ず入手してください。口約束だけでは後々トラブルの原因になります。
面接で給料支払い日を確認する方法とは?
面接で給料の支払い条件を質問するのは決して失礼なことではありません。ただし、聞き方には注意が必要です。
最終面接や内定が出た後のタイミングで質問するのが適切です。「生活設計の都合上、給料の支払い日を教えていただけますでしょうか」という聞き方が自然です。
人事担当者なら給与制度について詳しく答えてくれるはずです。「初回の給料はいつ頃もらえるのか」「日割り計算になるのか」まで具体的に確認しておくと安心です。
中小企業の場合、社長や経営陣が直接面接することもあります。その場合は「労働条件について詳しく教えてください」という形で包括的に質問し、後日人事担当者から詳細を聞くという流れでも構いません。
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試用期間中の給料制度はどう違うのか?
試用期間中の給料は、正社員と同じ条件で支払われるのが一般的です。ただし、企業によっては試用期間中の給料を減額する場合もあります。
法律上、試用期間中でも最低賃金以上の給料を支払う義務があります。しかし、「試用期間中は基本給の90%」といった条件を設ける企業も存在します。これは労働契約書に明記されていれば合法です。
試用期間の長さも企業によって異なります。一般的には3ヶ月ですが、6ヶ月に設定している企業もあります。この期間中は給料が少ない可能性があるため、事前の確認が欠かせません。
賞与についても注意が必要です。試用期間中は賞与の対象外とする企業が多いです。夏のボーナスシーズンに試用期間が重なる場合は、ボーナスがもらえない可能性があります。
転職1ヶ月目の給料なし期間を乗り切る5つの実践対策
生活費を月3万円削減する具体的な節約法とは?
転職1ヶ月目の無給期間を乗り切るには、生活費の削減が最も確実な方法です。月3万円程度の節約なら、工夫次第で十分可能です。
まず見直すべきは固定費です。携帯電話料金を格安SIMに変更すれば月5千円程度節約できます。動画配信サービスや音楽配信サービスなど、複数契約している場合は一時的に解約するのも有効です。
食費の節約も効果的です。外食を控えて自炊中心にすれば、月2万円程度の削減が可能です。業務スーパーやディスカウントストアを活用し、冷凍食品や見切り品を上手に使いましょう。
交通費の見直しも忘れずに。転職活動で使っていた交通費が不要になるため、その分を生活費に回せます。また、歩ける距離は歩くことで交通費を節約し、同時に運動不足の解消にもなります。
転職期間中に10万円稼げる副業はどれか?
転職1ヶ月目でも時間に余裕があれば、副業で収入を得ることができます。ただし、転職先の就業規則で副業が禁止されていないか確認が必要です。
最も手軽なのはクラウドソーシングサービスでの在宅ワークです。データ入力、文字起こし、簡単なライティングなどで月5万円程度は稼げます。特別なスキルがなくても始められるのがメリットです。
フードデリバリーの配達員も人気の副業です。土日だけでも月3万円程度の収入になります。自転車があれば初期費用もほとんどかからず、すぐに始められます。
不用品の販売も immediate な収入源になります。メルカリやヤフオクで使わなくなった物を売れば、10万円程度の収入は十分可能です。転職を機に持ち物を整理する良い機会でもあります。
🚩関連記事:転職活動中の生活費が足りない時の緊急資金調達法
企業への給料前払い交渉はどう進めるべきか?
企業によっては、転職者の事情を考慮して給料の前払いや仮払いに応じてくれる場合があります。ただし、交渉は慎重に進める必要があります。
まず、直属の上司ではなく人事部に相談するのが適切です。給与に関する権限は人事部にあるからです。「生活費の都合上、可能でしたら一部前払いをお願いできないでしょうか」という丁寧な聞き方をしましょう。
前払いが無理でも、給料日を早めてもらえる場合があります。「翌月25日払い」を「翌月20日払い」にしてもらうだけでも5日間の短縮になります。少しでも早くもらえれば資金繰りが楽になります。
ただし、前払い交渉は企業の善意に頼るものです。断られても諦めて、他の対策を講じることが大切です。無理に押し切ろうとすると、新しい職場での印象を悪くする可能性があります。
緊急時の借入先はどこが最適なのか?
どうしても生活費が足りない場合は、一時的な借入も選択肢の一つです。ただし、金利や返済条件をしっかり比較することが重要です。
家族や親戚からの借入が最も安全です。利息がかからず、返済期限も相談できるからです。ただし、人間関係に影響する可能性もあるため、借用書を作成するなど、きちんとした手続きを踏みましょう。
銀行のカードローンは金利が比較的低く、安心して利用できます。ただし、転職直後は審査が厳しくなる可能性があります。前職の勤務先や年収を正確に申告し、安定した返済能力をアピールしましょう。
クレジットカードのキャッシング機能も緊急時には有効です。すでに持っているカードなら、新たな審査なしで利用できます。ただし、金利が高めなので短期間で返済することが大切です。
クレジットカード支払いで資金繰りする方法とは?
クレジットカードを活用すれば、現金がなくても一時的に支払いを延ばすことができます。ただし、計画的な利用が前提です。
生活費をクレジットカード払いに切り替えれば、支払いを1~2ヶ月先延ばしできます。食費、光熱費、通信費など、可能な限りカード払いにしましょう。ポイントも貯まるので一石二鳥です。
分割払いやリボ払いの活用も検討してください。一時的に月々の支払額を減らすことで、資金繰りを改善できます。ただし、手数料がかかるため、給料が入ったら一括で返済することをおすすめします。
複数のクレジットカードがある場合は、支払日を分散させることで月々の負担を軽減できます。10日払い、25日払いなど、支払日が異なるカードを使い分けることで資金繰りが改善されます。
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転職1ヶ月目の給料トラブルを防ぐ事前準備
転職前の貯蓄はいくら必要なのか?
転職前には最低でも3ヶ月分の生活費を貯蓄しておくことをおすすめします。これは転職1ヶ月目の無給期間だけでなく、転職活動期間も含めた安全資金です。
月の生活費が20万円の場合、60万円程度の貯蓄があれば安心です。ただし、これは最低限の金額で、可能であれば6ヶ月分の120万円程度あると理想的です。
転職活動にかかる費用も考慮する必要があります。交通費、スーツ代、証明写真代など、意外と出費がかさみます。これらの費用も含めて資金計画を立てましょう。
貯蓄が十分でない場合は、転職のタイミングを調整することも検討してください。賞与をもらってから転職する、有給休暇を消化してから転職するなど、資金面での準備を整えることが大切です。
前職の有給消化タイミングはいつがベストか?
前職の有給休暇を上手に消化すれば、転職1ヶ月目の収入の穴を部分的に埋めることができます。タイミングが重要なポイントです。
最も効果的なのは、転職先の入社日直前に有給消化する方法です。3月末退職、4月入社の場合、3月中旬から有給消化すれば、3月の給料を満額もらいながら転職準備ができます。
ただし、前職の繁忙期や引き継ぎの都合もあるため、上司と相談して消化時期を決めることが大切です。「転職先の入社日の関係で、この時期に有給消化させていただきたい」と事前に相談しておきましょう。
有給消化中にアルバイトをするのは基本的に禁止されています。ただし、転職活動や転職準備は問題ありません。新しい職場の制度を調べたり、必要な資格の勉強をしたりする時間として有効活用しましょう。
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転職時期を調整して無給期間を短縮する方法とは?
転職時期を戦略的に調整すれば、無給期間を最小限に抑えることができます。企業の給与制度に合わせて入社日を決めることがポイントです。
「月末締め・翌月25日払い」の企業の場合、月末近くに入社すれば初回の給料日までの期間が短くなります。4月25日入社なら、5月25日に約1ヶ月分の給料がもらえます。
「20日締め・翌月10日払い」の企業なら、21日入社がベストタイミングです。21日から月末までの日割り分が翌月10日にもらえ、翌々月10日には満額の給料がもらえます。
ただし、転職時期の調整には限界があります。企業側の都合や、前職の退職手続きの関係もあるからです。可能な範囲で調整し、無理な場合は他の対策を併用することが現実的です。
転職先の人事担当者に相談してみるのも一つの方法です。「給与支払いの都合上、入社日を○日にしていただくことは可能でしょうか」と丁寧に相談すれば、対応してもらえる場合があります。
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まとめ
転職1ヶ月目に給料がもらえないのは、多くの企業が採用している翌月払い制度によるものです。この制度を知らずに転職すると、予想以上に長い無給期間に困ることになります。
最も重要なのは事前の準備です。労働条件通知書で給与制度を確認し、必要に応じて3ヶ月分程度の生活費を貯蓄しておくことをおすすめします。また、転職時期の調整や有給消化のタイミングを工夫すれば、無給期間を短縮できる可能性があります。
それでも資金が足りない場合は、生活費の節約、副業、一時的な借入など、複数の対策を組み合わせることが大切です。転職は人生の大きな転機ですが、しっかりとした準備があれば乗り切ることができます。
転職を成功させるためには、給与制度の理解も重要な要素の一つです。事前の情報収集と準備を怠らず、安心して新しいキャリアをスタートさせてください。
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