確定申告の必要書類や申請方法について、初めての方でも迷わずに手続きができるよう詳しく解説します。毎年2月から3月にかけて行う確定申告は、必要な書類を事前に準備しておくことで、スムーズに進められます。
会社員の方も医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合は確定申告が必要になりますし、個人事業主やフリーランスの方は毎年の義務となります。どんな書類が必要で、どのような方法で申請すればよいのか、一つずつ丁寧に説明していきます。
この記事を読めば、確定申告に対する不安が解消され、自信を持って手続きを進められるようになるでしょう。
確定申告の必要書類を整理しよう
確定申告をするときに必要な書類は、立場や所得の種類によって変わります。まずは基本的な書類から、それぞれの状況に応じた追加書類まで整理してみましょう。
書類の準備は確定申告をスムーズに進めるための第一歩です。早めに揃えておくことで、申告期間中に慌てることなく手続きができます。
全員に共通して必要な書類4つ
どなたが確定申告をする場合でも、必ず用意しなければならない書類があります。
- 確定申告書
- 本人確認書類(マイナンバーカードまたは通知カード+身分証明書)
- 所得がわかる書類
- 還付金を受け取る銀行口座の情報
それぞれ詳しく見ていきましょう。
確定申告書について
確定申告書は、1年間の所得や控除額を記載する最も重要な書類です。以前は申告書AとBに分かれていましたが、現在は統一された様式になっています。
税務署で直接受け取るか、国税庁のホームページからダウンロードできます。また、確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に従って入力するだけで自動的に作成されるので便利です。
本人確認書類の準備
マイナンバーカードがあれば、それ1枚で本人確認が完了します。マイナンバーカードをお持ちでない場合は、通知カードと運転免許証や健康保険証などの身分証明書が必要です。
e-Taxで申告する場合は、マイナンバーカードがあると手続きが簡単になります。事前にカードリーダーの準備も忘れずに行いましょう。
会社員が追加で用意する書類
会社員の方が確定申告をする場合、年末調整では処理できない控除を受けるためのケースが多いでしょう。
- 源泉徴収票
- 医療費控除の明細書
- 住宅ローン控除の証明書
源泉徴収票の重要性
勤務先から発行される源泉徴収票は、1年間の給与や源泉徴収税額を証明する重要な書類です。確定申告書等作成コーナーを使う場合は、源泉徴収票の内容を入力するだけで自動計算されます。
複数の会社から給与を受け取っている場合は、すべての源泉徴収票が必要になります。
医療費控除の準備
医療費控除を受ける場合は、医療費控除の明細書の作成が必要です。領収書の添付は不要になりましたが、5年間は保管しておく必要があります。
家族全員の医療費を合計して、年間10万円を超えた分が控除対象となります。
個人事業主が追加で用意する書類
個人事業主の方は、事業所得に関する詳細な書類が必要になります。
- 青色申告決算書または収支内訳書
- 帳簿類
- 領収書・請求書
青色申告と白色申告の違い
青色申告を選択している場合は青色申告決算書を、白色申告の場合は収支内訳書を作成します。青色申告では最大65万円の特別控除が受けられますが、複式簿記による記帳が必要です。
事前に開業届と青色申告承認申請書を提出していることが条件となります。
帳簿類の整理
日々の取引を記録した帳簿は、確定申告の基礎となる重要な資料です。売上や経費を正確に把握するために、月ごとに整理しておくと作業がスムーズになります。
領収書や請求書も、経費の種類別に分類して保管しておきましょう。
フリーランスが追加で用意する書類
フリーランスの方は、複数のクライアントとの取引があるため、収入を証明する書類が重要になります。
- 支払調書
- 経費の領収書
- 事業用口座の通帳
支払調書の取り扱い
支払調書は、クライアントが税務署に提出する書類で、フリーランス側への発行義務はありません。そのため、届かない場合もありますが、あれば確定申告で非常に役立ちます。
支払調書がない場合は、請求書や入金確認書類で収入を証明することになります。
経費管理のポイント
フリーランスの場合、仕事に関連する支出は経費として計上できます。交通費、通信費、消耗品費など、業務に必要な支出の領収書は必ず保管しておきましょう。
事業用とプライベート用の口座を分けておくと、収支の管理がしやすくなります。
本人確認書類の準備方法
確定申告では、マイナンバーの確認と身元確認の両方が必要です。どの書類を使うかによって、手続きの方法が変わってきます。
マイナンバーカードがある場合の手続き
マイナンバーカードをお持ちの場合は、そのカード1枚で番号確認と身元確認の両方ができます。申告書に添付する場合は、表面と裏面の両方をコピーして提出します。
e-Taxで申告する場合は、マイナンバーカードとカードリーダーがあれば、自宅からオンラインで手続きが完了します。
マイナンバーカードがない場合の手続き
マイナンバーカードをお持ちでない場合は、番号確認書類と身元確認書類の両方が必要になります。
番号確認書類として使えるもの3つ
マイナンバーを確認するための書類は以下の通りです。
- 通知カード(個人番号通知書)
- 個人番号が記載された住民票の写し
- 個人番号が記載された住民票記載事項証明書
通知カードは紛失しやすいので、大切に保管しておきましょう。住民票の写しは、市区町村の窓口で取得できます。
身元確認書類として使えるもの6つ
身元を確認するための書類は、以下のようなものが使えます。
- 運転免許証
- 健康保険証
- パスポート
- 在留カード
- 身体障害者手帳
- 公的医療保険の被保険者証
顔写真付きの身分証明書があると、より確実に本人確認ができます。健康保険証を使う場合は、他の書類と組み合わせることもあります。
確定申告書の作成方法
確定申告書を作成する方法は、大きく分けて4つあります。自分に合った方法を選んで、効率よく作業を進めましょう。
確定申告書の種類と選び方
現在の確定申告書は統一された様式になっており、所得の種類に関係なく同じ書式を使います。ただし、申告する内容によって記入する欄が変わってきます。
給与所得のみの方は比較的簡単ですが、事業所得がある方は詳細な計算が必要になります。
手書きで作成する方法
紙の確定申告書に手書きで記入する方法です。税務署で用紙を受け取るか、国税庁のホームページからダウンロードして印刷できます。
手書きの場合は計算ミスに注意が必要です。また、青色申告で手書き申告をすると、65万円の特別控除が受けられなくなる場合があります。
パソコンが苦手な方や、税務署で相談しながら作成したい方におすすめの方法です。
e-Taxで作成する方法
国税庁の確定申告書等作成コーナーを使って、オンラインで作成・提出する方法です。画面の案内に従って入力するだけで、自動的に計算されるので便利です。
e-Taxを利用するには、マイナンバーカードとカードリーダーが必要です。事前に利用者識別番号の取得も必要になります。
24時間いつでも申告でき、還付金の受け取りも早くなるメリットがあります。
確定申告ソフトを使って作成する方法
市販の確定申告ソフトを使って作成する方法もあります。やよいの青色申告オンラインやマネーフォワード クラウド確定申告、freeeなどが人気です。
確定申告ソフトは、日々の取引入力から申告書作成まで一貫してサポートしてくれます。特に個人事業主の方には、帳簿作成機能も含まれているので便利です。
確定申告の申請方法3つ
確定申告書が完成したら、税務署に提出します。提出方法は3つあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
e-Taxでオンライン提出する方法
インターネットを使って電子申告する方法です。自宅や事務所から24時間いつでも提出でき、還付金の受け取りも早くなります。
e-Taxの始め方
e-Taxを利用するには、まず利用者識別番号を取得する必要があります。国税庁のe-Taxホームページから申請できます。
マイナンバーカードとカードリーダーを用意して、電子証明書の設定も行います。
必要な機器とソフト
e-Taxを利用するには、インターネットに接続されたパソコンが必要です。マイナンバーカードを読み取るためのカードリーダーも用意しましょう。
スマートフォンでも申告できる場合がありますが、対応機種が限られています。
提出の手順
確定申告書等作成コーナーで申告書を作成し、電子署名を付けて送信します。送信後は受付結果を確認して、手続きが完了します。
添付書類の提出が省略できるのも、e-Taxの大きなメリットです。
税務署に直接持参する方法
確定申告書を税務署の窓口に直接持参する方法です。担当者に書類をチェックしてもらえるので、不備があってもその場で修正できます。
持参する際の注意点
税務署に持参する場合は、必要書類をすべて揃えて持参しましょう。本人確認書類も忘れずに持参してください。
申告期間中は混雑するので、時間に余裕を持って行くことをおすすめします。
税務署の受付時間
税務署の受付時間は、平日の午前8時30分から午後5時までです。土日祝日は基本的に受付していませんが、申告期間中は臨時で開庁する場合もあります。
事前に管轄税務署の開庁時間を確認しておきましょう。
郵送で提出する方法
確定申告書を郵送で提出する方法です。税務署に行く時間がない方や、遠方にお住まいの方に便利です。
郵送時の必要書類
申告書本体と添付書類、本人確認書類のコピーを同封します。控えが必要な場合は、返信用封筒も一緒に送付しましょう。
送付先の確認方法
送付先は、住所地を管轄する税務署です。国税庁のホームページで確認できます。
郵送の注意点
確定申告書は信書に該当するため、普通郵便や簡易書留で送付する必要があります。宅配便では送れないので注意してください。
消印の日付が提出日になるので、期限に間に合うよう早めに投函しましょう。
確定申告の期限と罰則
確定申告には決められた期限があり、遅れると罰則が科せられる可能性があります。期限を守って、適切に手続きを行いましょう。
確定申告の期限はいつまで?
令和6年分の確定申告期限は、2025年2月17日から3月17日までです。この期間内に申告と納税の両方を完了させる必要があります。
還付申告の場合は、翌年の1月1日から5年間提出できます。ただし、青色申告の特別控除を受ける場合は、期限内に申告することが重要です。
期限を過ぎてしまった場合の対処法
期限を過ぎてしまった場合でも、できるだけ早く申告することが大切です。期限後申告として受け付けてもらえますが、ペナルティが科せられます。
税務署の指摘を受ける前に自主的に申告すれば、ペナルティが軽減される場合もあります。
延滞税や加算税について
期限を過ぎると、以下のようなペナルティが科せられる可能性があります。
延滞税は、納付期限の翌日から完納するまでの日数に応じて課せられます。税率は最初の2か月間は年7.3%、それ以降は年14.6%が上限です。
無申告加算税は、期限内に申告しなかった場合に課せられます。原則として納税額の15%ですが、自主的に申告した場合は5%に軽減されます。
確定申告でよくある間違い5つ
確定申告でよくある間違いを知っておくことで、ミスを防ぐことができます。特に初めての方は注意しましょう。
1. 書類の記入ミス
数字の記入間違いや、必要事項の記入漏れがよくあります。特に手書きの場合は、計算ミスに注意が必要です。
確定申告書等作成コーナーを使えば、自動計算されるのでミスを減らせます。
2. 添付書類の不備
必要な添付書類が不足していたり、コピーを忘れたりするケースがあります。提出前にチェックリストを作って確認しましょう。
e-Taxを利用すれば、多くの添付書類の提出が省略できます。
3. 控除の申請漏れ
医療費控除や寄附金控除など、適用できる控除を見落とすことがあります。事前に控除の種類を調べて、該当するものがないか確認しましょう。
給与所得者が確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も含めて申告する必要があります。
4. 所得の計算間違い
事業所得の計算で、売上や経費の計上時期を間違えるケースがあります。現金主義と発生主義の違いを理解して、正しく計算しましょう。
5. 提出方法の選択ミス
青色申告で最大65万円の特別控除を受けるには、e-Taxでの申告が必要です。手書きや郵送では控除額が減額される場合があります。
確定申告を楽にする準備のコツ
確定申告を効率よく進めるために、日頃からできる準備があります。少しの工夫で、申告作業がぐっと楽になります。
日頃からできる書類整理術
確定申告に必要な書類は、日頃から整理しておくことが大切です。以下のような方法で整理しましょう。
カテゴリー別に分類して、売上関連、経費関連、控除関連などに分けて保管します。月ごとにクリアファイルを用意すると、さらに管理しやすくなります。
時系列に並べることで、後の集計作業がスムーズになります。領収書には日付順に番号を振っておくと便利です。
確定申告ソフトの選び方
確定申告ソフトを選ぶときは、以下のポイントを考慮しましょう。
求める機能を明確にすることが重要です。帳簿作成から申告書作成まで一貫してサポートしてくれるソフトを選びましょう。
年間にかかる費用も考慮して、コストパフォーマンスの良いソフトを選びます。無料版もありますが、機能が制限されている場合があります。
サポート体制も重要な要素です。電話やチャットでサポートを受けられるソフトを選ぶと安心です。
税理士に依頼する判断基準
以下のような場合は、税理士に依頼することを検討しましょう。
年間売上が1,000万円を超えた場合は、消費税の課税事業者になる可能性があるため、専門家のアドバイスが必要です。
利益が800万円を超えた場合は、税率が高くなるため、節税対策を含めた総合的な税務戦略が重要になります。
個人事業主から法人化する場合は、手続きが複雑になるため、税理士のサポートが欠かせません。
まとめ
今回の記事では、確定申告の必要書類から申請方法まで、初めての方でもわかりやすく解説しました。以下に重要なポイントをまとめます。
- 確定申告書、本人確認書類、所得証明書類、銀行口座情報は全員に必要
- 会社員は源泉徴収票、個人事業主は帳簿類、フリーランスは支払調書が追加で必要
- マイナンバーカードがあれば本人確認が簡単になる
- 申告書作成は手書き、e-Tax、確定申告ソフト、税理士依頼の4つの方法がある
- 提出方法はe-Tax、税務署持参、郵送の3つから選べる
- 令和6年分の申告期限は2025年2月17日から3月17日まで
- 期限を過ぎると延滞税や無申告加算税などのペナルティがある
確定申告は一見複雑に見えますが、必要書類を事前に準備し、自分に合った方法を選べばスムーズに進められます。わからないことがあれば、税務署や税理士に相談することも大切です。
早めの準備を心がけて、余裕を持って確定申告に取り組んでくださいね。