お子さまの将来の教育費について考えるとき、「どうやって効率よくお金を貯めよう?」と悩む方は多いのではないでしょうか。そんなときに候補に上がるのが学資保険です。
学資保険を選ぶうえで最も重要な指標が返戻率。でも「返戻率って何?」「どうやって計算するの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
返戻率は、支払った保険料に対してどれだけのお金が戻ってくるかを表す数字です。この数字が高いほど、効率よく教育資金を準備できることになります。
今回は学資保険の返戻率について、基本的な考え方から計算方法、さらに返戻率の高い商品まで詳しくご紹介します。お子さまの未来のために、賢い選択をしていきましょう。
学資保険の返戻率って何?まずは基本を理解しよう
学資保険を検討するとき、必ず耳にするのが「返戻率」という言葉。でも、この返戻率について正しく理解している方は意外と少ないかもしれません。
返戻率の基本的な考え方は次のとおりです。
- 支払った保険料総額に対する受取金額の割合
- 100%を超えると支払った以上のお金が戻ってくる
- 100%を下回ると元本割れして損をする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
返戻率の計算方法をわかりやすく解説
返戻率の計算は実はとてもシンプル。次の式で求められます。
返戻率 = 受け取る保険金総額 ÷ 支払った保険料総額 × 100
具体例で考えてみましょう。毎月15,000円を15年間支払い、総額270万円を納めたとします。そして満期時に320万円を受け取れる場合、返戻率は次のようになります。
320万円 ÷ 270万円 × 100 = 118.5%
この場合、支払った金額より50万円多く受け取れることになりますね。
計算するときのポイントは、祝い金や満期保険金をすべて合計すること。複数回に分けて受け取る場合も、すべての金額を足し合わせて計算します。
返戻率100%を超えるとどうなる?
返戻率が100%を超えるということは、支払った保険料よりも多くのお金を受け取れるということ。つまり、お金が増えて戻ってくるのです。
例えば返戻率110%の場合、100万円支払うと110万円受け取れます。10万円のプラスになるわけですね。
ただし、この「増える」部分は銀行の利息のようなもの。長期間にわたって少しずつ増えていくイメージです。短期間で大きく増えるわけではないことを理解しておきましょう。
また、返戻率は契約時に確定するため、将来の金利変動に左右されない安定性があります。これが学資保険の大きなメリットの一つです。
元本割れのリスクについて知っておこう
一方で、返戻率が100%を下回る場合は要注意。これは「元本割れ」と呼ばれる状態で、支払った保険料よりも受け取る金額が少なくなってしまいます。
元本割れが起こる主な原因は以下のとおりです。
- 医療保障などの特約を多く付けている
- 早期に解約してしまう
- 保険料の払込期間が長すぎる
特に中途解約は大きなリスク。契約から数年以内に解約すると、支払った保険料の半分程度しか戻ってこないこともあります。
学資保険は長期契約が前提の商品。途中で解約する可能性がある場合は、他の貯蓄方法も検討した方がよいでしょう。
学資保険の返戻率が決まる仕組み
「なぜ商品によって返戻率が違うの?」と疑問に思う方もいるでしょう。返戻率は様々な要因によって決まります。
返戻率に影響する主な要因は次のとおりです。
- 保険料の払込期間の長さ
- 満期保険金の受取時期
- 特約の有無と内容
これらの要因を理解することで、より有利な条件で学資保険に加入できるようになります。
保険料の払込期間が与える影響
保険料の払込期間は、返戻率に大きな影響を与える要素の一つ。一般的に、払込期間が短いほど返戻率は高くなります。
例えば、同じ商品でも次のような違いが生まれます。
- 10年払込:返戻率105%
- 18年払込:返戻率102%
なぜこのような差が生まれるのでしょうか。理由は保険会社の運用期間にあります。早く保険料を受け取った保険会社は、その分長く運用できるため、より多くの利益を契約者に還元できるのです。
ただし、払込期間を短くすると月々の保険料は高くなります。家計への負担を考えながら、バランスの取れた期間を選ぶことが大切です。
受取時期による返戻率の変化
満期保険金をいつ受け取るかも、返戻率に影響します。一般的に、受取時期が遅いほど返戻率は高くなる傾向があります。
具体的には次のような違いがあります。
- 17歳受取:返戻率103%
- 22歳受取:返戻率106%
これも保険会社の運用期間が関係しています。長く預かったお金ほど、運用による利益を上乗せして返すことができるのです。
ただし、大学入学時にまとまったお金が必要な場合は、受取時期を早める必要があります。返戻率だけでなく、実際の教育費の支払いタイミングも考慮して決めましょう。
特約の有無で変わる返戻率
学資保険には様々な特約を付けることができますが、特約を付けるほど返戻率は下がります。
代表的な特約と返戻率への影響は次のとおりです。
- 医療特約:返戻率が5~10%程度下がる
- 育英年金特約:返戻率が3~5%程度下がる
- 保険料払込免除特約:返戻率への影響は軽微
特約は万が一の備えとして安心感を与えてくれますが、その分コストがかかります。本当に必要な保障かどうか、他の保険でカバーできないかを検討することが重要です。
返戻率を重視するなら、特約は最小限に抑えることをおすすめします。
返戻率の高い学資保険を選ぶポイント5つ
返戻率の高い学資保険を選ぶには、いくつかのコツがあります。これらのポイントを押さえることで、より効率的に教育資金を準備できるでしょう。
効率的な学資保険選びのポイントは次のとおりです。
- 払込期間を短く設定する
- 受取時期を遅らせる
- 不要な特約は付けない
- 支払い方法を工夫する
- 契約者の年齢を考慮する
これらのポイントを一つずつ詳しく説明していきます。
1. 払込期間を短くして返戻率アップ
返戻率を高める最も効果的な方法は、保険料の払込期間を短くすることです。多くの学資保険では、10年払込や15年払込といった短期払込プランが用意されています。
短期払込のメリットは次のとおりです。
- 返戻率が3~5%程度高くなる
- 早期に払込が完了するため家計の負担期間が短い
- 契約者に万が一のことがあっても影響を受けにくい
ただし、月々の保険料は高くなります。例えば、総額300万円を準備する場合、18年払込なら月約14,000円ですが、10年払込なら月約25,000円になります。
家計の状況を考慮して、無理のない範囲で短期払込を検討してみましょう。
2. 受取時期を遅らせる効果
満期保険金の受取時期を遅らせることも、返戻率向上に効果的です。大学入学時(17~18歳)ではなく、大学卒業時(22歳)に設定することで、返戻率を2~3%程度高められます。
受取時期を遅らせるメリットは次のとおりです。
- 保険会社の運用期間が長くなり返戻率が向上
- 大学在学中の生活費にも活用できる
- 就職活動や新生活準備の資金としても使える
一方で、大学入学時の入学金や初年度納付金は別途準備する必要があります。他の貯蓄と組み合わせて、トータルで教育資金を考えることが大切です。
3. 特約は本当に必要?見極め方
学資保険の特約は魅力的に見えますが、返戻率を重視するなら慎重に検討しましょう。特約の必要性を判断するポイントは次のとおりです。
まず、お子さまの医療保障について考えてみましょう。多くの自治体では子ども医療費助成制度があり、医療費の自己負担は少額です。別途医療保険に加入している場合は、学資保険の医療特約は不要かもしれません。
次に、契約者の死亡保障について。既に生命保険に加入している場合は、育英年金特約は重複する可能性があります。
ただし、保険料払込免除特約は検討する価値があります。この特約は返戻率への影響が軽微で、契約者に万が一のことがあった場合の安心感が大きいからです。
4. 一括払いと月払いの違い
保険料の支払い方法も返戻率に影響します。一般的に、一括払い>年払い>月払いの順で返戻率が高くなります。
一括払いのメリットは次のとおりです。
- 返戻率が最も高くなる(月払いより5~10%程度高い)
- 支払い手続きが一度で済む
- 将来の家計変動の影響を受けない
ただし、まとまった資金が必要になります。また、早期解約時のリスクも大きくなるため、慎重な判断が必要です。
年払いは一括払いと月払いの中間的な選択肢。返戻率向上効果があり、かつ家計への負担も分散できるバランスの良い方法です。
5. 契約者の年齢も重要な要素
意外と見落としがちなのが、契約者の年齢による影響です。一般的に、契約者が若いほど返戻率は高くなります。
これは保険会社のリスク計算に基づくもの。若い契約者の方が保険期間中の死亡リスクが低いため、その分を返戻率に反映させているのです。
夫婦のうちどちらを契約者にするか迷った場合は、年齢の若い方を選ぶとよいでしょう。ただし、収入の安定性や健康状態も考慮して決めることが大切です。
また、祖父母が契約者になる場合は、年齢制限に注意が必要です。多くの保険会社では契約者の年齢上限を設けています。
FPが厳選!返戻率の高い学資保険5選
数ある学資保険の中から、返戻率の高さと商品の安定性を基準に、おすすめの5商品をご紹介します。それぞれに特徴があるので、ご家庭の状況に合わせて検討してみてください。
1. ソニー生命「学資保険スクエア」
返戻率と特徴
ソニー生命の学資保険スクエアは、返戻率の高さで定評のある商品です。条件によっては117%を超える返戻率を実現できます。
主な特徴は次のとおりです。
- 払込期間を10年、15年、17歳、18歳から選択可能
- 受取開始年齢を17歳、18歳、20歳、22歳から選択可能
- シンプルな保障内容で高い返戻率を実現
特に10年払込・22歳満期のプランでは、業界トップクラスの返戻率を誇ります。
おすすめする理由
ソニー生命をおすすめする理由は、返戻率の高さだけではありません。
まず、商品設計の柔軟性が挙げられます。払込期間と受取時期の組み合わせが豊富で、各家庭の事情に合わせたプランニングが可能です。
また、保険会社としての財務健全性も高く評価されています。長期契約となる学資保険では、保険会社の安定性は重要な要素です。
さらに、契約後のサービスも充実。担当者による定期的なフォローアップがあり、ライフプランの変化に応じたアドバイスを受けられます。
2. 明治安田生命「つみたて学資」
返戻率と特徴
明治安田生命の「つみたて学資」は、最大109%の返戻率を実現できる商品です。特に一括払いを選択した場合の返戻率の高さが魅力的です。
商品の特徴は次のとおりです。
- 15歳払済で高い返戻率を実現
- 21歳満期で大学在学中の資金需要にも対応
- 保険料払込免除特約が自動付帯
教育資金の準備に特化したシンプルな商品設計となっています。
おすすめする理由
つみたて学資をおすすめする理由は、バランスの良い商品設計にあります。
返戻率の高さを保ちながら、実用性も考慮されています。21歳満期により、大学4年間の学費や生活費に幅広く活用できる点が評価できます。
また、明治安田生命は老舗の生命保険会社として長い歴史があり、契約者からの信頼も厚い会社です。全国に営業拠点があるため、対面でのサポートを受けやすいのもメリットです。
保険料払込免除特約が自動付帯されているため、万が一の際の安心感もあります。
3. 日本生命「ニッセイ学資保険」
返戻率と特徴
日本生命のニッセイ学資保険は、返戻率104.5%程度を実現できる安定した商品です。大手生命保険会社ならではの安心感があります。
商品の主な特徴は次のとおりです。
- こども祝金なし型で高い返戻率を実現
- 5年ごと利差配当付きで運用成果の還元あり
- 保険料払込免除特約付き
配当金の仕組みがあるため、運用状況によっては表示返戻率を上回る可能性もあります。
おすすめする理由
ニッセイ学資保険の最大の魅力は、日本生命という会社の信頼性です。
国内最大手の生命保険会社として、財務基盤の安定性は抜群。長期契約となる学資保険では、この安心感は大きなメリットです。
また、全国に約1,500の営業拠点があり、きめ細かなサービスを受けられます。契約後のフォローアップも充実しており、ライフステージの変化に応じた相談ができます。
5年ごと利差配当の仕組みにより、好運用時には追加の給付を期待できる点も魅力的です。
4. フコク生命「みらいのつばさ」
返戻率と特徴
フコク生命の「みらいのつばさ」は、返戻率109.5%という高い水準を実現している商品です。ジャンプ型とステップ型の2つのプランから選択できます。
商品の特徴は次のとおりです。
- ジャンプ型:大学入学時に一括受取
- ステップ型:幼稚園から大学まで段階的に受取
- 11歳払済で高い返戻率を実現
- 兄弟割引制度あり
特にジャンプ型は返戻率が高く、効率的な教育資金準備が可能です。
おすすめする理由
みらいのつばさをおすすめする理由は、プランの選択肢と返戻率の高さです。
ジャンプ型は大学入学時の大きな資金需要に対応でき、ステップ型は各進学時の細かな費用に対応できます。家庭の教育方針に合わせて選択できる柔軟性があります。
また、兄弟割引制度があるため、複数のお子さまがいる家庭にはメリットが大きいです。2人目以降の保険料が割引になり、家計負担を軽減できます。
11歳払済という短期払込により、高い返戻率を実現している点も評価できます。
5. JA共済「こども共済」
返戻率と特徴
JA共済のこども共済「学資応援隊」は、返戻率103.1%を実現できる商品です。共済ならではの割戻金制度もあります。
商品の特徴は次のとおりです。
- 12歳払済で返戻率を向上
- 22歳満期で大学卒業まで対応
- 共済金額は200万円から1,000万円まで設定可能
- 割戻金制度により実質返戻率の向上が期待できる
共済組織ならではの相互扶助の精神に基づいた商品設計となっています。
おすすめする理由
こども共済をおすすめする理由は、共済ならではのメリットにあります。
まず、営利を目的としない共済組織のため、剰余金は割戻金として組合員に還元されます。これにより、実質的な返戻率は表示数値を上回る可能性があります。
また、全国のJAネットワークにより、身近な場所で相談やサービスを受けられます。農協との取引がある家庭では、より親しみやすい選択肢となるでしょう。
保険料も比較的リーズナブルで、家計への負担を抑えながら教育資金を準備できます。
返戻率だけで選んじゃダメ?学資保険選びの注意点
返戻率は学資保険選びの重要な指標ですが、それだけで判断するのは危険です。長期契約となる学資保険では、様々な要素を総合的に検討する必要があります。
学資保険選びで注意すべき点は次のとおりです。
- 保険会社の経営安定性
- インフレリスクへの対応
- 中途解約時のペナルティ
- 保障内容とのバランス
これらの要素を一つずつ詳しく見ていきましょう。
保険会社の経営状況をチェック
学資保険は15~20年という長期契約。その間に保険会社の経営状況が悪化する可能性もゼロではありません。
保険会社の健全性を判断する指標として、次のものがあります。
- ソルベンシー・マージン比率(200%以上が健全)
- 格付け機関による評価
- 基礎利益の推移
- 契約者数の増減
特にソルベンシー・マージン比率は重要な指標です。この数値が高いほど、支払い余力があることを示します。
また、会社の歴史や規模も参考になります。老舗の大手保険会社は一般的に安定性が高いとされています。
インフレリスクを考慮する
学資保険の大きなリスクの一つがインフレです。契約時に決まった金額が、15~20年後に同じ価値を持つとは限りません。
例えば、年2%のインフレが続いた場合、20年後の300万円の価値は現在の約200万円程度になってしまいます。
インフレリスクに対する対策として、次のような方法があります。
- 学資保険だけでなく、株式や投資信託も組み合わせる
- 変額保険タイプの学資保険を検討する
- 定期的に教育費の見直しを行う
完全にインフレリスクを回避することは困難ですが、リスクを認識して対策を講じることが大切です。
中途解約のペナルティ
学資保険は中途解約すると大きなペナルティがあります。特に契約初期の解約では、支払った保険料の半分程度しか戻ってこないこともあります。
中途解約が必要になる主な理由は次のとおりです。
- 家計状況の悪化
- 転職や収入減少
- 他の投資商品への乗り換え
- 海外転勤などの環境変化
これらのリスクを避けるため、契約前に次の点を確認しましょう。
- 保険料が家計に占める割合は適切か
- 緊急時の資金は別途確保できているか
- 契約者の職業や収入の安定性はどうか
無理のない保険料設定が、長期継続の鍵となります。
保障内容とのバランス
学資保険は貯蓄性を重視しがちですが、保障内容も重要な要素です。特に契約者に万が一のことがあった場合の保障は、しっかりと確認しておきましょう。
保険料払込免除特約は、多くの学資保険に付いています。この特約により、契約者が死亡や高度障害状態になった場合、以後の保険料支払いが免除され、満期保険金は予定通り受け取れます。
一方で、お子さまの医療保障については慎重に検討しましょう。自治体の医療費助成制度がある場合、重複する保障となる可能性があります。
保障と貯蓄のバランスを考えて、本当に必要な保障だけを選択することが重要です。
学資保険以外の教育資金準備方法との比較
教育資金の準備方法は学資保険だけではありません。他の方法と比較することで、より適切な選択ができるでしょう。
主な教育資金準備方法の特徴は次のとおりです。
- つみたてNISA:税制優遇がある投資制度
- 定期預金:元本保証で安全性が高い
- 終身保険:保障と貯蓄を兼ね備えた保険
それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
つみたてNISAとの違い
つみたてNISAは2018年に始まった税制優遇制度で、教育資金準備にも活用できます。
つみたてNISAの特徴は次のとおりです。
- 年間40万円まで投資可能(2024年からは新NISA制度)
- 運用益が非課税
- いつでも解約可能
- 元本割れのリスクあり
学資保険との比較では、つみたてNISAの方が高いリターンを期待できる一方、元本割れのリスクもあります。
また、つみたてNISAには保険料払込免除のような保障機能がないため、契約者に万が一のことがあった場合の備えは別途必要です。
リスクを取ってでも高いリターンを求める場合は、つみたてNISAが適しているでしょう。
定期預金との比較
定期預金は最も安全な教育資金準備方法の一つです。
定期預金の特徴は次のとおりです。
- 元本保証で安全性が高い
- 預金保険制度により1,000万円まで保護
- 金利が低く資金効率は悪い
- いつでも解約可能(ただし金利ペナルティあり)
学資保険と比較すると、定期預金は安全性では勝りますが、資金効率では劣ります。現在の低金利環境では、定期預金だけで教育資金を準備するのは現実的ではないかもしれません。
ただし、緊急時の資金として一定額を定期預金で確保しておくことは重要です。
終身保険を活用する方法
終身保険を教育資金準備に活用する方法もあります。
終身保険の特徴は次のとおりです。
- 一生涯の死亡保障
- 解約返戻金を教育資金に活用可能
- 学資保険より返戻率が高い場合がある
- 保険料が高め
終身保険のメリットは、教育資金として使わなかった場合でも、老後資金や相続対策として活用できることです。
ただし、保険料が高いため家計への負担は大きくなります。また、解約タイミングによっては元本割れのリスクもあります。
十分な収入がある家庭で、教育資金以外の目的も考慮したい場合に適した方法です。
返戻率を最大化するための契約テクニック
学資保険の返戻率をさらに高めるための、契約時のテクニックをご紹介します。これらの方法を活用することで、より効率的に教育資金を準備できるでしょう。
返戻率向上のテクニックは次のとおりです。
- 契約者を適切に選択する
- 支払い方法を工夫する
- 契約タイミングを最適化する
それぞれ詳しく解説していきます。
契約者を誰にするかで変わる税金
学資保険の契約者を誰にするかは、税金面で大きな影響があります。
一般的なパターンと税務上の取り扱いは次のとおりです。
- 契約者:父親、被保険者:子ども → 父親の一時所得
- 契約者:祖父母、被保険者:孫 → 孫への贈与とみなされる可能性
祖父母が契約者となる場合は、贈与税の問題が生じる可能性があります。年間110万円の贈与税非課税枠を超える場合は注意が必要です。
また、契約者の年齢によっても返戻率が変わります。一般的に若い契約者の方が返戻率は高くなるため、夫婦間では年齢の若い方を契約者にするとよいでしょう。
ただし、収入の安定性や健康状態も考慮して決めることが重要です。
年払いと月払いの使い分け
保険料の支払い方法によっても返戻率は変わります。一般的に、一括払い>年払い>月払いの順で返戻率が高くなります。
各支払い方法の特徴は次のとおりです。
年払いは月払いより返戻率が1~2%程度高くなります。また、年1回の支払いのため手続きが簡単で、家計管理もしやすくなります。
ただし、年払いにする場合は、支払い月の家計負担が大きくなります。ボーナス時期に合わせるなど、家計の収支を考慮して設定しましょう。
一括払いは最も返戻率が高くなりますが、まとまった資金が必要です。また、早期解約時のリスクも大きくなるため、慎重な判断が必要です。
契約時期のベストタイミング
学資保険の契約時期も返戻率に影響します。
最適な契約時期は次のとおりです。
- 妊娠中(出産予定日の140日前から契約可能)
- 子どもが0歳のうち
- 遅くとも子どもが6歳になる前
早期契約のメリットは、保険料の払込期間を長く設定できることです。また、契約者の年齢が若いため、返戻率も高くなります。
妊娠中に契約する場合は、出産予定日を被保険者の生年月日として契約します。万が一、出産予定日と実際の誕生日が異なった場合は、後日変更手続きを行います。
ただし、妊娠中の契約では、出産後に被保険者の健康状態に問題があった場合のリスクもあります。この点も考慮して契約時期を決めましょう。
よくある疑問に答えます
学資保険について、多くの方が抱く疑問にお答えします。これらの疑問を解消することで、より安心して学資保険を検討できるでしょう。
返戻率は将来変わることがある?
学資保険の返戻率は、契約時に確定します。そのため、将来的に金利が上昇しても下降しても、契約時の返戻率は変わりません。
ただし、次のような場合は例外があります。
- 配当付きの商品では、運用成果により配当金が支払われる場合がある
- 変額保険タイプでは、運用成果により受取金額が変動する
- 保険会社の経営破綻時は、保護機構により一定程度保護されるが満額保障ではない
一般的な学資保険では、契約時の返戻率が保証されているため、安心して長期契約を結ぶことができます。
途中で保険料が払えなくなったら?
保険料の支払いが困難になった場合、いくつかの対処法があります。
まず、保険会社に相談することが重要です。多くの保険会社では、次のような制度を用意しています。
- 払済保険への変更:以後の保険料支払いを停止し、それまでの積立金で保険を継続
- 減額:保険金額を減らして保険料を下げる
- 契約者貸付:解約返戻金の範囲内で資金を借りる
これらの制度を活用することで、解約を避けることができる場合があります。
ただし、いずれの方法も受取金額は減少します。家計状況が改善した際は、元の契約に戻すことも検討しましょう。
受取時の税金はどうなる?
学資保険の満期保険金を受け取る際は、税金がかかる場合があります。
税務上の取り扱いは次のとおりです。
- 一時金で受け取る場合:一時所得として課税
- 年金形式で受け取る場合:雑所得として課税
一時所得の場合、受取金額から支払った保険料総額を差し引いた利益が50万円を超える部分の2分の1が課税対象となります。
例えば、300万円支払って350万円受け取った場合、利益は50万円なので課税されません。400万円受け取った場合は、利益100万円から50万円を差し引いた50万円の2分の1、つまり25万円が課税対象となります。
多くの学資保険では、課税される水準まで利益が出ることは少ないため、税金を心配する必要はあまりありません。
まとめ:あなたに合った学資保険の見つけ方
今回の記事では、学資保険の返戻率について基本的な考え方から具体的な商品まで詳しくご紹介しました。以下に要点をまとめます。
- 返戻率は支払った保険料に対する受取金額の割合で、100%を超えるとお得
- 返戻率を高めるには払込期間を短くし、受取時期を遅らせ、特約を最小限にする
- ソニー生命、明治安田生命、日本生命などが高い返戻率を実現している
- 返戻率だけでなく保険会社の安定性や保障内容も重要な選択基準
- つみたてNISAや定期預金など他の方法との比較検討も大切
- 契約者の選択や支払い方法の工夫で返戻率をさらに向上できる
- 中途解約のリスクや税金についても事前に理解しておく
学資保険は長期にわたる大切な契約です。返戻率の高さは魅力的ですが、それだけで判断せず、ご家庭の状況に合った商品を選ぶことが何より重要です。
お子さまの将来のために、じっくりと検討して最適な選択をしてくださいね。複数の保険会社で見積もりを取り、専門家にも相談しながら決めることをおすすめします。