子どもの教育費を準備するとき、学資保険の代わりになる方法を探している方も多いのではないでしょうか。返戻率の低さや途中解約のリスクを考えると、他の選択肢も検討したくなりますよね。
実は、学資保険以外にも教育資金を準備する方法はたくさんあります。預貯金やNISA、低解約返戻金型終身保険など、それぞれに特徴があり、ご家庭の状況に合わせて選ぶことができます。
この記事では、学資保険の代わりとして活用できる3つの方法を中心に、教育費の目安や選び方のポイントまで詳しくお伝えします。お子さんの将来のために、最適な準備方法を見つけてくださいね。
学資保険の代わりを探す理由とは?
多くの方が学資保険の代わりを検討する背景には、いくつかの共通した理由があります。
- 返戻率の低さが気になる
- 途中解約で元本割れするリスク
- インフレに対応できない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
返戻率の低さが気になる
学資保険の返戻率は、現在の低金利環境では100%を少し上回る程度にとどまっています。長期間お金を預けても、ほとんど増えないのが現状です。
例えば、18年間で300万円を積み立てても、受け取れるのは310万円程度。これでは物価上昇に追いつけません。
もっと効率的にお金を増やしたいと考える方が、他の方法を検討するのは自然な流れといえるでしょう。
途中解約で元本割れするリスク
学資保険は途中で解約すると、支払った保険料よりも少ない金額しか戻ってこないことがあります。特に加入から数年以内の解約では、大きく元本割れしてしまうケースも。
家計の状況が変わったり、急にまとまったお金が必要になったりしたとき、自由に引き出せないのは不安ですよね。
柔軟性を重視する方にとって、この制約は大きなデメリットとなります。
インフレに対応できない
物価が上がっても、学資保険の受取金額は変わりません。つまり、実質的にお金の価値が目減りしてしまう可能性があります。
最近の物価上昇を考えると、この問題はより深刻になっています。教育費も同様に上がっていくため、固定金額では将来の教育費をカバーしきれないかもしれません。
学資保険の代わりになる教育資金準備の3つの方法
学資保険に代わる教育資金の準備方法として、特におすすめの3つをご紹介します。
- 預貯金・定期預金で確実に貯める
- NISA(少額投資非課税制度)で効率的に増やす
- 低解約返戻金型終身保険で保障も備える
どの方法も特徴が異なるので、ご家庭の状況に合わせて選んでくださいね。
1. 預貯金・定期預金で確実に貯める
預貯金は最もシンプルで確実な教育資金の準備方法です。元本保証があり、必要なときにすぐに引き出せる安心感があります。
金利は低めですが、リスクを取りたくない方には最適な選択肢。自動積立を設定すれば、無理なく続けられます。
児童手当を活用した積立方法
児童手当をそのまま教育費として積み立てる方法は、多くの家庭で実践されています。2024年10月からは18歳まで支給されるようになり、総額も大幅に増えました。
月額1万円から1万5000円の児童手当を全額貯金すれば、18年間で200万円以上の教育資金を準備できます。
家計への負担を感じることなく、確実に教育費を積み立てられるのが大きなメリットです。
先取り貯金のコツ
給料が入ったらすぐに教育費分を別口座に移す「先取り貯金」は、確実に貯金を続けるための基本テクニック。
残ったお金で生活する習慣をつけることで、自然と節約意識も高まります。月3万円を18年間続ければ、648万円の教育資金を準備できる計算です。
2. NISA(少額投資非課税制度)で効率的に増やす
NISAは投資で得た利益が非課税になる制度で、長期的な資産形成に適しています。2024年の制度改正により、より使いやすくなりました。
年間360万円まで投資でき、運用益に税金がかからないのが大きな魅力。ただし、元本保証はないため、リスクを理解した上で活用することが大切です。
つみたて投資枠の活用方法
つみたて投資枠では、年間120万円まで積立投資ができます。金融庁が認めた投資信託のみが対象なので、初心者でも安心して始められます。
月1万円から3万円程度の積立投資を続けることで、長期的には学資保険よりも高いリターンが期待できる可能性があります。
ただし、必要な時期に資産が減っている可能性もあるため、余裕資金で行うことが重要です。
成長投資枠との使い分け
成長投資枠は年間240万円まで投資でき、個別株式やETFなども選択できます。より積極的な運用を目指す方に適しています。
教育資金の準備では、つみたて投資枠でコツコツと積み立て、成長投資枠で一部をより積極的に運用するという使い分けも考えられます。
3. 低解約返戻金型終身保険で保障も備える
低解約返戻金型終身保険は、教育資金の準備と生命保険の保障を同時に備えられる商品です。払込期間中の解約返戻金は少なくなりますが、その分保険料が割安になっています。
払込期間満了後は、支払った保険料を上回る解約返戻金を受け取れることが多く、学資保険の代わりとして人気があります。
払込期間満了後の高い返戻率
例えば、子どもが0歳のときに加入し、15年間保険料を支払うとします。子どもが15歳になったとき、払込期間が終了し、その後は解約返戻金が増えていきます。
大学進学時の18歳で解約すれば、支払った保険料よりも多くの資金を受け取れる可能性があります。返戻率は商品によって異なりますが、105%から110%程度になることも。
万一の保障機能
契約者に万が一のことがあった場合、死亡保険金が支払われます。これにより、教育資金を確実に残すことができます。
学資保険と同様の保障機能を持ちながら、より柔軟な活用ができるのが特徴です。解約のタイミングも自由に選べるため、家計の状況に応じて調整できます。
その他の学資保険代わりになる方法
メインの3つの方法以外にも、教育資金を準備する選択肢があります。
- 投資信託で専門家に運用を任せる
- 外貨建て終身保険で海外資産に分散
- 変額保険で積極的な運用を狙う
これらの方法も検討してみる価値があります。
投資信託で専門家に運用を任せる
投資信託は、運用の専門家が多くの投資家から集めた資金をまとめて運用する仕組みです。個人では難しい分散投資を、少額から始められます。
毎月一定額を積み立てる「積立投資」なら、時間分散効果により価格変動リスクを抑えられます。長期的には、預貯金よりも高いリターンが期待できる可能性があります。
ただし、元本保証はないため、教育費が必要な時期に資産が減っている可能性もあります。
外貨建て終身保険で海外資産に分散
外貨建て終身保険は、保険料を外貨で運用する商品です。日本円だけでなく、米ドルやユーロなどの外貨で資産を持つことで、為替リスクを分散できます。
海外の金利が日本より高い場合、より高い運用成果が期待できます。ただし、為替変動により円換算での価値が変動するリスクもあります。
変額保険で積極的な運用を狙う
変額保険は、保険料の一部を投資信託で運用し、その成果に応じて保険金や解約返戻金が変動する商品です。
運用がうまくいけば、大きなリターンを得られる可能性があります。一方で、運用成果が悪ければ、元本を下回ることもあります。
リスクを取ってでも高いリターンを狙いたい方に適していますが、教育資金の準備としては慎重な検討が必要です。
教育資金はいくら必要?公立・私立別の費用目安
教育資金を準備する前に、実際にどのくらいの費用が必要なのかを把握しておくことが大切です。
- 幼稚園から高校までの教育費
- 大学進学にかかる費用
- 塾や習い事の追加費用
具体的な金額を見ていきましょう。
幼稚園から高校までの教育費
幼稚園から高校まで、すべて公立に通った場合の教育費は約596万円です。一方、すべて私立に通った場合は約1860万円にもなります。
公立と私立では3倍以上の差があることがわかります。特に私立小学校の費用は高額で、6年間で約950万円もかかります。
教育段階 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
幼稚園(3年) | 約70万円 | 約160万円 |
小学校(6年) | 約200万円 | 約950万円 |
中学校(3年) | 約150万円 | 約420万円 |
高校(3年) | 約135万円 | 約290万円 |
大学進学にかかる費用
大学の教育費は、国公立か私立か、また文系か理系かによって大きく異なります。
国公立大学なら4年間で約540万円ですが、私立大学の場合は文系で約720万円、理系で約900万円から1000万円程度かかります。
医歯薬系の学部では2000万円を超えることも珍しくありません。
塾や習い事の追加費用
学校の授業料以外にも、塾や習い事の費用がかかります。小学生の約77%が何らかの塾や習い事をしているという調査結果もあります。
公立に通いながら塾や習い事をする場合、幼稚園から高校まで合計で約345万円の追加費用がかかります。私立の場合はさらに高額になることが多いです。
学資保険の代わりを選ぶときの3つのポイント
教育資金の準備方法を選ぶときは、以下の3つのポイントを考慮することが大切です。
- リスク許容度に合わせて選ぶ
- 必要な時期から逆算して決める
- 家計の状況を考慮する
それぞれ詳しく解説します。
リスク許容度に合わせて選ぶ
投資にはリスクがつきものです。元本保証を重視するなら預貯金、ある程度のリスクを取って増やしたいならNISAや投資信託を選びましょう。
年齢や家計の状況によって、取れるリスクの大きさは変わります。若いうちはリスクを取りやすく、教育費が必要な時期が近づくにつれて安全性を重視する方が多いです。
必要な時期から逆算して決める
教育費が必要になる時期は、ある程度予測できます。大学進学なら18歳、私立中学受験なら12歳といった具合です。
必要な時期から逆算して、どのくらいの期間で準備できるかを考えましょう。期間が長ければ積立投資も選択肢に入りますが、短期間なら安全性を重視した方が良いでしょう。
家計の状況を考慮する
毎月どのくらいの金額を教育費に回せるかは、家計の状況によって決まります。無理のない範囲で続けられる方法を選ぶことが大切です。
また、他の目的(住宅購入、老後資金など)との兼ね合いも考慮しましょう。教育費だけでなく、総合的な資産形成の観点から判断することが重要です。
教育費が足りないときの対処法
計画通りに教育費を準備できなかった場合でも、いくつかの対処法があります。
- 教育ローンの活用
- 奨学金制度の利用
- 公的支援制度の確認
事前に知っておくと安心です。
教育ローンの活用
国の教育ローンは、日本政策金融公庫が提供する公的な融資制度です。子ども1人あたり350万円まで(条件により450万円まで)借りることができます。
金利は固定で、民間の教育ローンよりも低めに設定されています。入学前でも申し込めるため、急な資金需要にも対応できます。
奨学金制度の利用
日本学生支援機構の奨学金は、学生本人が借りて卒業後に返済する制度です。給付型と貸与型があり、家計の状況に応じて選択できます。
2020年からは高等教育の修学支援新制度も始まり、住民税非課税世帯などを対象に授業料減免と給付型奨学金が提供されています。
公的支援制度の確認
高等学校等就学支援金制度により、公立高校の授業料は実質無償化されています。私立高校についても、年収590万円未満の世帯は授業料相当額が支給されます。
児童手当も18歳まで支給されるようになったため、これらの制度を活用することで教育費の負担を軽減できます。
まとめ
今回の記事では、学資保険の代わりとなる教育資金の準備方法について詳しくお伝えしました。以下に要点をまとめます。
- 学資保険の代わりには預貯金、NISA、低解約返戻金型終身保険の3つが特におすすめ
- 預貯金は確実性が高く、児童手当の活用や先取り貯金で無理なく続けられる
- NISAは非課税メリットがあり、長期的には高いリターンが期待できる可能性がある
- 低解約返戻金型終身保険は教育資金準備と保障を同時に備えられる
- 教育費は公立で約596万円、私立で約1860万円程度が目安
- 選ぶときはリスク許容度、必要時期、家計状況を総合的に判断する
- 教育ローンや奨学金制度も活用できる
お子さんの将来のために、ご家庭に最適な教育資金の準備方法を見つけてくださいね。どの方法を選ぶにしても、早めに始めることが成功の鍵となります。