共働きで世帯年収800万円の生活レベルは?住宅ローンや車、貯金事情も紹介

共働きで世帯年収800万円の生活って、実際どんな感じなんでしょう。「800万円もあれば余裕でしょ?」と思われがちですが、実は意外と苦しいと感じている家庭も多いんです。

マイナビの調査では、平均世帯年収806万円の共働き正社員のうち46%が「家計が苦しい」と回答しています。なぜこんなことが起こるのでしょうか。

今回は、共働きで世帯年収800万円の家庭がどんな生活を送っているのか、住宅ローンはいくらまで組めるのか、車選びのポイント、そして上手な貯金方法まで詳しくお話しします。同じような収入の家庭で「なんだか生活が楽にならない」と感じている方の参考になれば嬉しいです。

共働きで世帯年収800万円の基本情報

全世帯に占める割合はどのくらい?

共働きで世帯年収800万円の家庭は、実は全体から見ると少数派です。総務省の家計調査によると、夫婦共働き世帯の平均世帯年収は約856万円となっています。つまり、800万円は平均よりも50万円以上低い水準なんですね。

ただし、年収800万円クラスの世帯では共働き世帯の比率が高いことも特徴です。年収800万~900万円未満の勤労世帯のうち、約6割以上が共働き世帯となっています。

手取り額の計算方法

年収800万円と聞くと「かなり余裕がありそう」と思いますが、実際の手取り額はどうでしょうか。

共働きの場合、夫婦それぞれが所得税や住民税、社会保険料を支払うため、税負担を分散できるメリットがあります。例えば、夫500万円・妻300万円の組み合わせなら、手取り額は合計で約620万円程度になります。月換算すると約52万円です。

片働きで一人が800万円稼ぐ場合と比べると、共働きの方が税負担が軽くなるため、手取り額は多くなります。

片働きとの違いを比較

共働きと片働きでは、同じ世帯年収800万円でも生活の質が大きく変わります。

共働きの場合、収入源が2つあるため、どちらかが病気やリストラになっても収入がゼロになるリスクを避けられます。また、税負担の分散により手取り額も多くなります。

一方で、共働きならではの支出もあります。保育園代や家事代行サービス、外食費などが増える傾向にあります。時間に余裕がないため、お金で時間を買うような支出が多くなるのが特徴です。

共働き世帯年収800万円の生活レベル

家族構成別の生活費内訳

夫婦2人の場合

夫婦2人だけなら、世帯年収800万円でかなり余裕のある生活ができます。住居費に月15万円かけても、食費や光熱費、娯楽費を含めて毎月10万円以上の貯蓄が可能です。

都心部でも2LDKの賃貸マンションに住めますし、年に数回の海外旅行も楽しめるでしょう。ただし、将来の子育て費用や住宅購入資金を考えると、今のうちからしっかり貯蓄しておくことが大切です。

子ども1人の場合

子どもが1人いる3人家族では、生活費の内訳が大きく変わります。保育園代や習い事費用、食費の増加などで月の支出は5万円程度増えることが多いです。

それでも、節約を心がければ月5万円程度の貯蓄は可能です。ただし、子どもの成長とともに教育費が増えていくため、計画的な家計管理が必要になります。

子ども2人の場合

子どもが2人いる4人家族では、「生活にはやや余裕がある程度」といえます。保育園代だけで月10万円を超えることもあり、家計のやりくりが重要になってきます。

住宅ローンの返済額や家賃が高額だったり、子ども2人とも私立の学校に通っている場合は、生活が苦しくなる可能性もあります。

都市部と地方での生活費の違い

同じ世帯年収800万円でも、住んでいる地域によって生活レベルは大きく変わります。

都市部、特に東京圏では住宅コストが高いため、家賃相場の高いエリアでは1LDKがやっと、郊外や近県であれば3LDKも可能という水準です。東京都の賃貸住宅の家賃平均は月約8.1万円となっています。

地方都市では家賃相場が安く、16万円程度の予算でも十分に広い一戸建てや3LDKマンションに住めるケースが多いでしょう。最も家賃が安い鹿児島県では月約3.8万円が平均です。

単身世帯との比較

独身で年収800万円あれば、かなり余裕のある生活を送ることができます。家賃16万円程度の物件に住んでも、食費や光熱費、娯楽費などを含めて毎月10万円以上の貯蓄が可能です。

共働き世帯と比べると、時間的な余裕があるため外食費や家事代行サービスの費用を抑えられます。ただし、将来の結婚や出産を考えると、今のうちから貯蓄習慣をつけておくことが大切です。

共働き世帯年収800万円の住宅ローン事情

借入可能額の目安

共働き世帯年収800万円の場合、住宅ローンの借入可能額は申し込み方法によって大きく変わります。

単独ローンで夫の年収500万円のみで申し込む場合、借入可能額は約4,090万円が目安です。一方、世帯年収800万円で収入合算して申し込む場合は、約6,550万円まで借りることができます。

ただし、「借りられる金額」と「返済できる金額」は別物です。借入可能額いっぱいまで借りてしまうと、家計が圧迫される可能性があります。

無理のない返済額の計算方法

住宅ローンの毎月の返済額は、手取り月収の25%以内に抑えるのが理想です。世帯年収800万円の共働き家庭なら、手取り月収が約52万円なので、月13万円以内の返済額が目安になります。

金利1.5%、返済期間35年で計算すると、変動金利なら3,000万円~5,000万円、固定金利なら3,000万円~4,000万円程度が無理のない借入額といえます。

単独ローンと収入合算の違い

単独ローンは夫婦どちらか一方の収入のみで申し込む方法です。借入可能額は少なくなりますが、もう一方が働けなくなっても返済に困らないメリットがあります。

収入合算は夫婦の収入を合わせて申し込む方法で、借入可能額が大きくなります。ただし、どちらかの収入が減ると返済が厳しくなるリスクがあります。

共働きならではの注意点5つ

共働き世帯が住宅ローンを組む際の注意点をまとめました。

  • 産休・育休による収入減少を考慮する
  • 転職や退職のリスクを想定しておく
  • 保育園代などの新たな支出を計算に入れる
  • 団体信用生命保険の加入者を慎重に選ぶ
  • 将来の働き方の変化を見据えて計画する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

産休・育休による収入減少を考慮する

妻が妊娠・出産する際は、産休・育休で収入が減少します。育児休業給付金は給与の約67%(6か月後は50%)なので、家計への影響を事前に計算しておきましょう。

転職や退職のリスクを想定しておく

共働きでも、どちらかが転職や退職をする可能性があります。収入が減っても返済を続けられるよう、余裕を持った借入額に設定することが大切です。

保育園代などの新たな支出を計算に入れる

子どもが生まれると保育園代や習い事費用などの新たな支出が発生します。これらの費用も含めて返済計画を立てる必要があります。

団体信用生命保険の加入者を慎重に選ぶ

住宅ローンには団体信用生命保険への加入が必要です。主たる債務者が亡くなった場合、ローン残高がゼロになりますが、収入の多い方を主債務者にするのが一般的です。

将来の働き方の変化を見据えて計画する

子育てや親の介護などで働き方が変わる可能性があります。フルタイムからパートタイムへの変更なども考慮して、長期的な視点で計画を立てましょう。

共働き世帯年収800万円の車選び

購入予算の目安

車の購入予算は年収の半分以下に抑えるのが理想です。世帯年収800万円なら400万円以下が目安になります。

ただし、住宅ローンを組んでいる場合や子どもの教育費がかかる場合は、もう少し抑えた方が安心です。300万円以下で検討するのが現実的でしょう。

おすすめの車種

共働き家庭におすすめの車種は、実用性と経済性のバランスが取れたものです。

ファミリーカーなら、トヨタのヴォクシーやホンダのステップワゴンなどのミニバンが人気です。コンパクトカーでも十分なら、トヨタのアクアやホンダのフィットなどが燃費も良くおすすめです。

最近は電気自動車も選択肢に入ってきています。補助金を活用すれば、実質的な購入価格を抑えることができます。

ローンと現金購入の判断基準

車をローンで購入するか現金で購入するかは、金利と手持ち資金のバランスで判断しましょう。

住宅ローンを組んでいる場合は、車のローンを追加すると家計が圧迫される可能性があります。できるだけ現金で購入するか、頭金を多めに入れて借入額を抑えることをおすすめします。

維持費も含めた総額での考え方

車は購入費用だけでなく、維持費も考慮する必要があります。

年間の維持費は車種によって異なりますが、軽自動車で約30万円、普通車で約50万円程度が目安です。ガソリン代、保険料、車検代、税金などを含めた総額で判断しましょう。

共働き世帯年収800万円の貯金事情

平均貯金額はいくら?

金融広報中央委員会の調査によると、2人以上の世帯の年代別貯金額は以下のようになっています。

30歳代で貯金額286万円(金融資産保有額601万円)、40歳代で貯金額361万円(金融資産保有額889万円)が平均値です。ただし、これは共働き世帯に限定したデータではありません。

共働き世帯は収入が安定しているため、平均よりも多く貯蓄できている家庭が多いと考えられます。

理想的な貯金額の目安

世帯年収800万円の共働き家庭では、毎月10万~15万円程度の貯蓄ができると理想的です。年間で120万~180万円の貯蓄を目標にしましょう。

ボーナスがある場合は、ボーナス時にさらに貯蓄を上乗せすることで、年間200万円以上の貯蓄も可能です。

貯金が増えない理由4つ

世帯年収800万円もあるのに貯金が増えない理由を4つ挙げてみます。

  • 生活レベルを上げすぎている
  • 固定費が高すぎる
  • 家計の管理ができていない
  • 将来への備えが不十分

詳しく見ていきましょう。

生活レベルを上げすぎている

収入が増えると、つい生活レベルも上げてしまいがちです。外食の回数が増えたり、高級な商品を選んだりすることで、支出が収入の増加分を上回ってしまいます。

固定費が高すぎる

住居費や保険料、通信費などの固定費が収入に対して高すぎる場合があります。特に住居費は手取り収入の30%以内に抑えることが大切です。

家計の管理ができていない

共働きだと、お互いの支出を把握しきれていない場合があります。家計簿をつけるか、家計管理アプリを使って支出を見える化しましょう。

将来への備えが不十分

教育費や老後資金などの将来への備えが不十分だと、急な支出に対応できません。計画的な資産形成が必要です。

効果的な貯金方法

共働き世帯におすすめの貯金方法をご紹介します。

まず、給与天引きで自動的に貯蓄する仕組みを作りましょう。会社の財形貯蓄や銀行の自動積立を活用すれば、意識しなくても貯蓄ができます。

次に、夫婦それぞれが一定額を家計に入れ、残りは個人の貯蓄にする方法もあります。お互いの貯蓄状況を定期的に確認し合うことが大切です。

共働き世帯年収800万円でも生活が苦しい理由

よくある支出パターン

世帯年収800万円でも生活が苦しいと感じる家庭には、共通する支出パターンがあります。

住居費に収入の40%以上をかけていたり、車のローンや教育費で家計が圧迫されていたりするケースが多いです。また、外食費や娯楽費が予想以上にかかっている場合もあります。

固定費が高すぎるケース

固定費が収入に対して高すぎると、家計に余裕がなくなります。

住居費は手取り収入の30%以内、保険料は10%以内に抑えることが理想です。通信費や光熱費なども定期的に見直して、無駄な支出を削減しましょう。

教育費の負担が重いケース

子どもを私立の学校に通わせたり、複数の習い事をさせたりすると、教育費の負担が重くなります。

子ども1人あたりの教育費は、幼稚園から大学まですべて公立でも約1,000万円、すべて私立だと約2,500万円かかるといわれています。計画的な準備が必要です。

ライフプランが立てられていないケース

将来のライフプランが明確でないと、何にどれくらいお金が必要かわからず、無計画な支出をしてしまいがちです。

結婚、出産、住宅購入、子どもの進学、退職など、人生の大きなイベントを時系列で整理し、それぞれに必要な資金を計算しておきましょう。

共働き世帯年収800万円の家計改善方法

固定費の見直しポイント

家計改善の第一歩は固定費の見直しです。効果が大きく、一度見直せば継続的に節約効果が得られます。

住居費、保険料、通信費、光熱費、車関連費用などを順番にチェックしていきましょう。特に保険は必要以上に加入していることが多いので、定期的な見直しが大切です。

変動費の管理方法

食費や娯楽費などの変動費は、予算を決めて管理することが重要です。

家計簿アプリやクレジットカードの明細を活用して、何にどれくらい使っているかを把握しましょう。無駄な支出を見つけたら、少しずつ減らしていくことが大切です。

税金対策の活用

共働き世帯は税金対策を活用することで、手取り収入を増やすことができます。

iDeCoや企業型確定拠出年金を活用すれば、所得控除により税負担を軽減できます。また、ふるさと納税も効果的な節税方法の一つです。

将来に向けた資産形成

貯蓄だけでなく、投資による資産形成も検討しましょう。

つみたてNISAを活用した長期投資は、共働き世帯におすすめです。毎月一定額を投資信託で運用することで、インフレに負けない資産形成ができます。

共働き世帯年収800万円のライフプラン

子どもの教育費準備

子どもの教育費は早めに準備を始めることが大切です。

大学進学時に必要な資金は300万~500万円程度が目安です。子どもが小さいうちから学資保険やジュニアNISAを活用して、計画的に準備しましょう。

住宅購入のタイミング

住宅購入のタイミングは、家族構成や収入の安定性を考慮して決めましょう。

子どもが生まれる前に購入すれば、住宅ローン控除を長期間活用できます。ただし、転勤の可能性がある場合は、賃貸のままでいる選択肢も考慮しましょう。

老後資金の考え方

老後に必要な資金は夫婦で約3,000万円といわれています。

公的年金だけでは不足するため、iDeCoやつみたてNISAを活用した私的年金の準備が必要です。共働きなら夫婦それぞれが制度を活用できるメリットがあります。

リスクへの備え方

共働き世帯特有のリスクに備えることも大切です。

どちらかが働けなくなった場合に備えて、就業不能保険への加入を検討しましょう。また、緊急時に備えて生活費の6か月分程度の現金を確保しておくことをおすすめします。

まとめ

今回は共働きで世帯年収800万円の生活レベルについて、住宅ローンや車、貯金事情まで幅広くお話ししました。以下に要点をまとめます。

  • 世帯年収800万円は共働き世帯の平均よりやや低い水準
  • 手取り額は約620万円で月52万円程度になる
  • 住宅ローンは3,000万~4,000万円程度が無理のない借入額
  • 車の購入予算は300万円以下が現実的
  • 理想的な貯蓄額は毎月10万~15万円
  • 固定費の見直しが家計改善の第一歩
  • 将来のライフプランを立てて計画的な資産形成が重要

共働きで世帯年収800万円あっても、支出管理ができていないと生活が苦しくなってしまいます。まずは家計の現状を把握して、固定費の見直しから始めてみてください。

将来への備えも含めて、お金の専門家に相談することも検討してみてくださいね。あなたの家庭に合った最適な家計管理方法が見つかるはずです。